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小中高生の学力低下顕著=5人に1人が落第=向学心そぐ初等教育制度

9月23日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】教育省は二十日、ブラジルの高校生の五人に一人二〇・二%、小中学生は二〇%が昨年落第したと発表した。教育省が教育研究院(INEP)に依頼した調査によれば、教師増員にもかかわらず前年比で特に高校生の学力が低下したと報告した。
 九八年から九九年で一七・二%を峠に高校生の学力は低下し、〇一年から〇二年に百七十万人が落第した計算だ。この中には卒業しないで、中退した生徒も含まれる。高校になると授業に付いていけず、学業放棄する生徒も少なくない。
 小中学生は九八年から九九年が二一・三%、翌年二一・六%、二一・七%と三年連続で学力が低下したが、〇一年から〇二年には二〇%へ向上。数にすると七百万人の落第生となる。
 小中学生の落第数は国内で見るとやや回復したが、ユネスコ調査で外国と比較すると百七カ国中で百番目だ。ブラジルより下位は、全てアフリカ諸国だ。
 落第は生徒を意気消沈させる上、八年で終了するところを約十年かかるので政府にとってもコスト高になる。落第した生徒のために政府は二五%、七十億レアルの余分な歳出を払っている。この歳出が、教師の給与調整の妨げとなる。
 八年終了のところを十年かけると良く習得するという見方は、国際的には通用しない。義務教育の学力に対する国際評価は、いつも最後の方に位置している。教育省が行う小学四年過程の検定では、五九%が読めない。五二%が加減計算ができない。
 落第制度で生徒に向学心を起こさせるという考え方に、批判も出ている。九〇年代に及第率が伸び悩み、落第による向学心の向上は成果が出てない。年齢に見合った科目内容の調整という意見もあるが、落第率を減らすための工夫は行われていない。一部に独自の教育法を実施した例はあるが、一般化していない。
 現行の初等教育法に、疑問を持っている教師は多い。小学へ入学した一年生には、まず読み方から教えるべきという。読めても意味が分からない生徒が多いという。別の学校へ転校して及第させてもらい、順調に卒業したという生徒も多い。
 ブラジルの初等教育法は世界でも少数派の教え方で、初級生の向学心をゆがめ、スタートで脱落者を生み出すという見方もある。