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苦学生支えて半世紀=アルモニア=学生寮が50周年=教育一筋に躍進=高名な識者を多数輩出

9月23日(火)

 「教育と文化―永遠の誓い」が次なる五十年への指針――。サンベルナルド・ド・カンポ市の学校法人アルモニア教育センターで二十日、運営母体に当たるアルモニア学生寮の創立五十周年の記念式典が行われた。同学生寮を経営する社団法人サンパウロ学生会(和田忠義会長)の会員や日系社会など各界の名士らが出席し、半世紀の節目を祝った。式典に先だってセンター前では石碑も除幕。刻み込まれた「躍進」という力強い二文字を目にした関係者らは、二十一世紀に担う役割の大きさをかみ締めていた。

 学生寮を経営するサンパウロ学生会は、日系子弟の教育問題を支援しようとブラジル力行会が設立。第二次大戦後まもない一九四九年五月に社団法人として認可されている。地方からサンパウロ市内に出て学びたいという日系苦学生を支えるのを目的に、同学生寮は五三年九月二十日に充実した施設を落成。以来五十年に渡って、日系社会の指導者らを輩出してきた。これまでの寮生数は四千人に上り、著名な識者を多数輩出してきたことで知られる。
 除幕式で挨拶した破魔浩一郎前会長は、敷地の購入資金に当てようと五百コントの予算で寄付活動を始めた同力行会など先人の労に感謝。「ヴィヴァ、万歳」と喜びを表した。
 「教育と文化―永遠の誓い」とのスローガンが掲げられた会場には来賓二百人、保護者ら八百人の計千人が来場。南ヒロユキ・サンベルナルド・ド・カンポ市議や佐藤宗一・サンパウロ総領事館首席領事、ジョルジ羽藤・サンパウロ市議らに加え、学生寮のOBに当たる評議員会の渡部和夫会長ら各界から来賓八人が招かれた。
 同校の児童約五十人による両国歌斉唱の後、既に亡くなった先人らに敬意を捧げる黙祷が行われた。
 冒頭、和田会長は「ブラジル社会に役立つ市民の育成に貢献しようと五十年前、この組織が作られた」などと挨拶。自らも同学生寮で一年間を過ごした渡部氏は、五十年間の歴史を紹介した。
 同学生寮を評議員ら理事など様々な形で支えた西村俊治氏や林寿雄氏、野村丈吾氏ら六人に感謝状などが手渡された。
 また、九三年から一年間同教育センターに滞在しサンパウロ大学に留学、ブラジルのサッカー事情などを研究した柴田勗・札幌大学教授は長年、日伯の交流に貢献したとしてサンパウロ名誉市民権を授かった。
 同センターの日系、非日系の児童二人は挨拶の中で「こうして楽しく学習できるのもサンパウロ学生会のお陰です」と非日系の男子は日本語で、日系の女子はポルトガル語で感謝の言葉を述べた。
 また、約五十人の子供たちはアルモニア(和)の名にふさわしく日本とブラジルの歌をそれぞれ披露。昨年以来、同センターで活動している和太鼓の五チームが力強い演奏を響かせると参加者から盛大な拍手が送られた。
 式典の最後には五十年を祝うケーキを前に、全員で「パラベンス・ア・ヴォセ」を歌い、関係者や児童らが一丸となって今後の発展を誓った。同学生寮の第二期生に当たる渡部氏は「貴重な友人はもちろん、人間として社会に貢献しなければならないことを学んだ」と感慨深げに話していた。