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生産地名偽り多いブラジル=日伯の農業事情を比較

9月23日(火)

 [既報関連]海外日系人協会主催でJICAが支援する第二回日系農協幹部養成研修が七月十二日から八月十日の日程であり、南米から計十人が参加した。十九日、JICAサンパウロ支所管内から参加の四人が同所で報告会を行い、研修の感想や今後の日系農協の運営について語った。
 同研修にはサンパウロからサンミゲール・アルカンジョ南伯農協の市瀬成生さん(四三)、イビウーナの浜田エリオ・エイジさん(四四)、コパセントロの城田ジョゼー芳久さん(四三)、ロンドリーナの嶋田範男さん(四三)が参加。そのほか、ベレーン支所から乙幡ワーテル・タダユキさん(三五)、パラグアイ三人、ボリビア二人が研修に赴いた。
 報告会で城田さんは日伯両国の農産物を比較、「日本は果物を旬の時期にとるので味が安定している。ブラジルで旬の果物を出荷するには、交通手段など流通経路の確保を考えなければならない」とした。また、「日本では生産者の名前が記され、厳しく守られているが、ブラジルは名前を利用して得をしようとする」と訴えた。現に、ソロカバの某スーパーマーケットでは、一年中、同じぶどうの生産地名が掲げられているが、実際は四ヵ月だけ出荷しており、生産地名の海賊行為に頭を悩ませている農協もあるという。
 市瀬さんは、「ブラジルは品質があやふやで、農家も消費者も、何を食べているのかはっきり分かっていない」ときっぱり。ブラジルにも規格があるが、形と大きさのみで、日本のようにコンピュータ分析して甘味まで鑑定できないのが現状らしい。
 研修前に「野菜の梱包を学びたい」と語っていた浜田さんは、「日本は果物の梱包は美しいが、野菜は種類も少なく、きれいな包装がされているものはあまりなかった」と残念そうに語った。
 そのほか、「ブラジルでの特産物の可能性」を模索していた嶋田さんは、「日本では十年、十五年の長期計画で運営している。私たちの農協でも、信頼を得るために規格を決めて特産物を育て、規格外のものは加工するなどの工夫が必要。それには農家がルールを守ってくれなくては」とし、「ロンドリーナでも計画的で安定性のある農業を目指したい」と語った。