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クローン医療の許可要請=難病治療に不可欠=学会が国連に必要性強調

9月24日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】ブラジル科学アカデミー(ABC)は六十二カ国の医学団体と共に二十二日、クローン人間をつくることを禁じている国連へ医療目的と研究目的に限り、クローン技術の応用を許可するよう要請書を手渡した。
 国連クローン委員会は二十九日、ニューヨークで同件を討議することになった。要請に加わったブラジル代表でサンパウロ大学(USP)ゲノム研究室のマヤナ・ザッツ教授は、クローン技術の応用が許可されると、脊髄の損傷や火傷による皮膚のひきつれなど、先天性疾患で悩む多くの患者が救出されると述べた。
 クローン技術により容易に幹細胞が摘出でき、アルツハイマー病やパーキンソン病、糖尿病など多くの難病の治療が可能となる。ブラジルでは一九九五年、ヒトの受精卵を単なる生物体として取り扱うことが禁じられた。さらにさかのぼって一九九二年には、受精卵に手を加えることも禁じられた。
 医療目的や研究目的のクローン技術は予め遺伝子操作をした受精卵を人体に挿入するのではなく、試験官内で培養しES細胞(全能性細胞)にする。こうしておくと、いつでも必要なだけクローンを生み出せる。
幹細胞は成長すると、血液細胞と神経細胞、筋肉細胞などに分けて保管する。
 これまでの研究実験は、ハツカネズミで行っていた。パーキンソン病のネズミに、幹細胞から培養した神経細胞を移植して成功するなど画期的成果があった。米国では大統領をはじめ宗教界の強い抵抗のもとにクローン技術の医療への適用が、いつも論議の的になっている。ブラジルでは医療目的の使用許可運動は、起きたことがない。ABCが立ち上がったのが、初めてだ。
 上院は二〇〇一年、同件を取り上げたが十分審議も行われず、たち消えになった。ブラジルは同件に関する関心が薄く、公認に向けた討論の場が設けられないという。
 受精卵の操作が禁じられたころは、幹細胞が医療に有効であるなど全く想像もできなかった時代であった。その後医療技術の日進月歩により、事情は大きく変化した。観念論でやみくもに禁じるのではなく、時代の背景も考慮に入れて欲しいと関係者は願っている。