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活力与える肯定思考=共同生活に不可欠=心理学者が研究成果発表

9月25日(木)

 【ヴェージャ誌】マルチン・セリグマン博士の著書「肯定の心理学」が米国でベスト・セラーになった。ブラジルでも翻訳版が出版され、内向的性格、かっとう、注意散漫、人間関係の失敗、短慮、冷血性、苦労性、うつなどで悩む人に同書が呼びかける。

 精神的に健康と診断できるタイプは、たとえ先天性の障害があっても生来の自分自身を受け入れられる人、生産的な人、ストレス解消ができる人、どんなことでも前向きに受け止める人、問題解決と同時に活動、いたわり、リラックスができる人と同書はみている。
 異論もある。精神分析の父シグムント・フロイトは、精神的に健康な人とは想像の産物だといった。人間はみんな精神的欠陥を持って生まれ、その宿命から逃れることはできないという。この説を展開すると、人類は悲劇的結末を迎える。
 もっと現実的に考えて人間はお互いに、夫を、妻を、友人を、共営者を、使用人を、その人柄と教養で選ぶ。人柄を、教養よりも重要視する。これが大体、今日の常識になっている。
 宇宙衛星乗組員の選考も、この水準で行うようだ。宇宙衛星の中は狭く長期間、多数の乗組員が緊張状態で共同生活する。お互い信用する。我慢する。不平をいわない。感情の起伏を他人にぶつけない。任務に支障を来さない。嫌なことをいわれても相手にしない。失敗しない程度に楽しみ、慎重に感情の処理をするなどが要求される。
 宇宙船〃地球号〃も程度こそ違い、宇宙衛星や潜水艦の中の世界とあまり変わらない。そんな煩わしい境遇を救ってくれるのが、肯定思考だ。心の正体が最近、少しづつ科学で分かるようになった。
 大部分の人は、知能指数が二十歳を峠に衰える。学んだことを生かせる職業に就けない。収入も希望の水準に達しない。就職しても自分の地位は一生、保証されない。高齢化して能率が落ちれば、追い出される。
 プロの活躍分野も、縮小している。プロの七五%は、長年の経験で自分の信じることが正しいと考え、自分の壁を造る。壁の外を理解しないまま、自分のプロ意識がどこでも通用すると思っている。宗教に熱心な人ほど、その傾向がある。
 フロイドの精神分析を生産的に活用して、何が精神のかっとうを解決するかを分析する。そこには民族文化や地政学的地域、歴史的伝統などの違いがある。控えめな民族、陽気な民族、几帳面な民族、感情的な民族などの相違がある。精神的健康の定義は至難だ。結論は自分の精神的健康を、自分で養うこと。それには肯定思考をすすめる。
 人間生命の活力を促進するのは、肯定思考を訓練することだと分かった。一時期、ダーウインやニーチェ、マルクスの影響で、肯定思考は未熟者の夢だと考えられた。精神科学の発達で肯定思考が、人体のメカニズムにエンドルフィン(活力源)を生み出し生命活動を促進することが解明されたと、同書は結論している。