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孤児から経営者へ=次々とアイデアひらめく

9月25日(木)

 【スセッソ誌】シッコ・ボルジェスさんは三歳まで、実母に育てられた。ある日母はボルジェスさんの手を引きバスで遠い町へ行った。母はあめを買って来てあげるから、ここで待っていなさいといって捨てられた。
 警官が夕方、タトゥアペーのFEBEM孤児院へ連れて行き五年間、そこで育てられた。八歳のとき刑務所の洗濯場で働くジョゼ・ボルジェスさん夫婦の養子となった。十二歳のとき養母が死亡、養父も十五歳のときアルコール依存症で死んだ。
 そのころロベルト・シンヤシキ氏の著書「幸福になることが成功だ」に出会ったのは、運がよかったという。伯母の世話で会計事務所のオフィス・ボーイに就職した。
 会計事務所の主人ルイスさんはある日、顧客を一人勧誘したら、世話料として一最低賃金を与えるといった。シッコさんは「経営者交代。最高のサービスで歓待」の垂れ幕を探して、町中を歩いた。
 土日は会計事務所の勧誘に歩き、給料は〃倍々ゲーム〃で増えた。SEBRAEで、講習を受けた。独立営業を目指す人のための講習で早速、卒業生を一人一人訪問した。主人も驚くほどの顧客勧誘成績で、事務所主任に昇格した。
 シッコさんは十八歳で、商業学校を卒業した。ルイスさんの会計事務所を辞し、自分の家に会計事務所を開業した。当初は財政難で、夜はマックドナルドで働いた。しばらくして、市街地へ会計事務所を移転。
 シッコさんは昼夜、どうして大手の顧客を集めるか考えた。チラシを配っても、ほとんどは見もしないで捨てられる。だが、よいアイデアがひらめいた。「愛のアイスキャンデー」と名づけた紙片をチラシに結びつけ、ロベルト・シンヤシキ氏の自己啓発標語を書き付けた。
 イビラプエラ公園でアイスキャンデーと一緒に会計事務所のチラシも渡した。
同公園を訪れる人は、経営者が多い。アイスキャンデーは毎日四百本売れるし、会計事務所の顧客は瞬く間に増えるし、大成功だ。
 新聞で新教の信徒が、急増していることを知った。早速ネクタイをしめてスーツを着て片手に聖書を持って、教会の入り口に立ってチラシを配った。シッコさんが敬謙なクリスチャンに見えたらしい。ここでも多数の顧客を得た。
 エジル・マセド師がサント・アマロ大通りに、教会を建てると聞いた。シッコさんは教会前に支店のサウモス(詩編)会計事務所を開業。献堂式の日、大通りいっぱいに「サウモスは新教会を祝福する」と書いて大きな横断幕を下げた。
 シッコさんは教会に入って、信者たちが会衆の前でするお話しの下手なのに気づいた。会計事務所はたくさん開けたが、今度は話方教室を開けることにした。現在は大手企業の営業部員多数が、シッコさんの話方教室で学んでいる。