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年金生活をブラジルで=近藤さんがシルバー移住=〃国際的〃余生の新しい形=2000ドル超の受給者に永住権

9月26日(金)

 ブラジルにもシルバー移住の波が押し寄せてきた――。近藤良雄さん(六三、神戸出身)は昨年六月に神戸製鋼を定年退職し、ブラジルで暮らすという積年の夢をかなえるために永住権を取得して十二日に来伯した。欧州諸国同様、ブラジルにも年金受給者向けのシルバー移住を受け入れる制度があり、月二千ドル以上の年金受給者に限って永住権を与えている。同制度は九十年代前半に制定されたが、日本からはあまり利用者がいなかった。

 近藤さんにはサンパウロ市在住の兄(移住者)がおり、その関係から定年したらブラジルで暮らしてみたいと希望していた。以前に二回来伯しているが、いずれも一週間程度。今回はすでにポ語の個人授業も受け始め、本格的な定住生活に入った。
 昨年六月に神戸製鋼を定年する同時に、ツニブラ旅行社大阪支店に相談し、書類準備を開始。ブラジル名古屋総領事館が求める書類を集め、十一月に正式申請し、今年三月初旬にはビザ発行認可の知らせが届いた。ブラジリアの本省決済で、大統領選挙を挟んでいたにも関わらず、五カ月間で終わった。
 一般的には書類準備開始から一年間はかかると申請を担当する旅行社側は想定しており、かなりのスピード発行のよう。査証業務に詳しいリベルコンの高田フェルナンド社長も「レウニオン・ファミリアール(家族呼び寄せ)なら通常二~三ヵ月、時に四ヵ月かかることも。おそらくシルバー移住ビザも同じくらいでは」と解説する。
 提出した書類は▼パスポート全ページのコピー▼ビザ申請用紙(総領事館で配布)▼戸籍謄本▼住民票▼二千ドル以上の年金給付証明書▼源泉徴収票▼写真▼無犯罪証明書▼口座残高証明書(ブラジル銀行東京支店に口座を開設し一万ドルを預金)だそう。
 近藤さんは「一番大事なのは月々の年金給付額が規定を超えていることのようです」と語る。年金額が足りない人で、それを補うために資産目録(銀行残高など)を添付して申請したが、総領事館から却下されたケースが以前あったそう。高田社長も「一ドルでも足りなかったらダメでしょう」と語る。年金額がギリギリの場合は、その時々の為替を睨みつつ申請した方がいいようだ。
 ブラジル法務省サイトによれば、このビザで二人までの扶養者(二十一歳以下の子どもや自分の親)も連れていくことができる。それ以上の場合は、一人当たり千ドル分の年金給付月額の上積みが必要となる。
 総領事館からビザ発行認可の知らせが来てから九十日間以内にパスポートを提出し、スタンプを押してもらう。スタンプの日付から、さらに九十日間以内にブラジルに入国し、外国人登録をする。
 ビザ申請代行費用は旅行社によってまちまちだが、一般的には十万円から十五万円以上はかかりそう。
 近藤さんは米国の永住権取得も目指しており、三国を股にかけた〃国際的余生〃を過ごそうと考えている。
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 この年金受給者向けのリタイアメント(退職)査証制度は世界十七カ国で実施されており、欧州でも英国、イタリア、スペインを始め五カ国、南米ならベネズエラにもあるが国によって条件は様々。(「海外移住情報」サイトwww.interq.or.jp/Tokyo/ystation/world.html参照)。