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学校教育を通した「子供の森」づくりージャカレイに〝芽〟―コチア農校が指導

9月27日(土)

 ジャカレイ市の名門学校として知られるColegio Objetivo Juniorの七歳から九歳までの児童三十二名(女児十名)が教諭四名に引率されて、二十二日、コチア農業学校を訪問、鈴川行治教頭の指導を受けながら、念願だった植林を行った。この植林は、先の九月十二日に同校で実施された「農業と環境」をテーマとする学園祭(本紙・九月十八日既報)を通して環境保全意識が盛り上がり、「早く木を植えたい!」という児童たちの強い希望を受け入れて実施したもの。
 児童たちは、まず鈴川教頭の案内で、蒔かれたタネが芽を萌きだして苗木となるようすを育苗センターで見学、頭の準備運動をしてから、事前に穴を掘り、有機堆肥が埋められた植林地に向かった。
 植林後の管理運営のことを考えて、植林地はコチア農業学校の敷地内にある丘陵地が選ばれた。植えたのはイペー・アマレロとローショの二種類だった。児童たちは自分の身長よりも長い苗木を元気に運んで、引率の先生の指導を受けながら一本一本植えた。
 このようすをサンジョセ・ドス・カンポスにあるUniversidade do Vale do Paraibaの学生たちが環境教育の映像用に取材した。「今日は木を植えた子供たちの生の声も収録することができ、大成功!」と記者志望の学生マリアナさんは喜んでいた。先の学園祭で野菜コーナーを担当していた小学二年生のカロリーナちゃんは「こんなに早く木を植える夢がかなって、本当に嬉しい。時々見に来るわ!」と友達と一緒にはしゃいでいた。
 「子供の森」計画は、一九九二年にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議を記念してオイスカ・インターナショナル(本部・東京)が提唱した運動で、現在は世界二十数カ国で三千近くの学校が参加している。今回の植林はブラジルにおいて学校教育を通した「子供の森」の端緒となる可能性を秘めている。
 コチア農業学校の近在集落の子供たちが参加している「コチア子供の森」(本紙・〇一年十二月十九日既報)、グァタパラ移住地では同移住地の子供たちが参加している「子供の森」(本紙・〇二年七月二十日既報)が、すでに存在しているが、学校教育の一環としての「子供の森」は今回が初めてとなる。引率したクリスチアネ・ネヴェス・サントス教諭は「今日は二年生と三年生だけだったけれど、今後は上級生にも参加を指導して、植林を続けていきたい」とコチア農業学校の鈴川教頭に協力を依頼していた。
 木の成長と子供の成長の均衡が環境保護につながり、この輪の拡がりを期待したい。