9月27日(土)
昨年末時点で、日本の「永住者」資格をとったブラジル人の数が三万一〇〇〇人を超えていたことが、今年五月に法務省入局管理局が発表した統計で分った。永住者が在日ブラジル人全体の一割以上を占めるにいたり、デカセギの日本定住傾向を裏付けるデータとなった。この数は五年間で十二倍と急増しており、今後しばらくはこの傾向が続く可能性も一部で指摘されている。
在日ブラジル人全体の外国人登録者数は二〇〇〇年に二五万四三九四人、〇一年に二六万五九六二人、〇二年に二六万八三三二人と増加を続けている。
そのうちの「永住者」資格を持つブラジル人は、九八年には二六四四人しかいなかったが、▼九九年=四五九二人▼〇〇年=九〇六二人▼〇一年=二万〇二七七人▼〇二年=三万一二〇三人と激増している。わずか五年間で約十二倍になり、在日ブラジル人全体の一一・六%を占めるに至った。
主に二世に与えられる資格である「日本人の配偶者等」(日本人の配偶者又は子)の外国人登録者数は、二〇〇〇年を境に減少傾向。▼〇〇年=一〇万一六二三人▼〇一年=九万七二六二人▼〇二年=九万〇七三二人(全ブラジル人の三三・八%)
また三世や二世の配偶者らに与えられる「定住者」の外国人登録数は一貫して増え続けており、ブラジル人総数の約半分を占め、依然デカセギ者の中心勢力を形成している。▼〇〇年=一三万七六四九人▼〇一年=一四万二〇八二人▼〇二年=一三万九八二六人(全ブラジル人の五二%)
残りは「その他」六五七一人で、本来外国人登録が必要ない短期滞在(観光・商用など)の一一七二人や未取得の約三二〇〇人など。
永住者増加について、サンパウロ領事館査証班の妹川光敏領事は、定住化傾向の現れの一端ではないかと分析する。在日ブラジル人数自体が年々増加する中で、主に二世に与えられる「日本人の配偶者等」が減っている事に関しては、その分「永住者」に移行している可能性を指摘。
一般に「永住者」に変更するには「素行善良」「独立の生計を営むにたる資産、または技能を有すること」という二条件に適合しなければならない。「日本人の配偶者等」からも「定住者」からも変更は可能だが、日本人の子ども(二世)であれば条件に満たなくても法務大臣が許可できる規定があり、三世にくらべると二世は「永住者」になりやすいことも、この傾向を後押ししている。
また、日本で家を購入するデカセギが増加するにつれ、金融機関からの融資条件として「永住者」の方が融資を受けやすい、との話もある。
「永住者」が今後も増え続ける可能性について、妹川領事は「よく分からないが、ここ数年間の動向を見ると、すぐにグッと減ることはないかもしれない」と語った。