9月30日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】「飢餓ゼロ」計画が発足して九カ月を迎えたが、成果が上がらないことを不満としてルーラ大統領は二十七日、諸省庁にまたがる「飢餓ゼロ」計画を再編するよう指示した。ジョゼ・グラジアノ食糧特命相は無任所大臣となり、同省は廃止となる。政権の目玉とする〃富の再分配〃は、一庁に集中させるとした。「飢餓ゼロ」計画は看板だけが残り、実質的には低所得層のニーズに対応するだけのマーケティングとした。
社会福祉分野の画期的変革を期待していた大統領は〃富の再分配〃を生活扶助制度で最終結論とすることを州知事らに報告。統括は大統領直属の機関で行い、食糧特命省を廃止する。また社会福祉省も構造改革を行い、従来の省は廃止。
「飢餓ゼロ」計画は意義ある行為として残るが、食糧特命省は不要という。グラジアノ教授が考案した貧困層の自助努力を促す〃迎え水〃を投ずる計画は批判を受けたまま廃止されることになった。国際会議でもブラジルの貧民対策は話題となったが、自助努力が可能なら貧困にならないと批判された。
富の再分配は、大統領顧問のアナ・フォンセッカ社会学教授とリカルド・ヘンリッケ経済学教授が生活扶助制度として担当する。これまで社会福祉省が担当した奨学金なども、両教授の担当の生活扶助制度の中に編入される。貧困家庭向けの生活扶助の支払いは十月末から実施予定で、家族状況により手取り五十レアルから九十五レアル見当。
グラジアノ教授は努力の結晶である食糧の配給カードが取りやめとなり、落胆した。社会福祉相だったベネジッタ・シウヴァ女史はブエノス・アイレスで、教会の朝食会に出席してうっぷんを晴らした。ブアルケ教育相は奨学金制度を同省から取り上げられ不満やる方ない。
一方、大統領によって典型的極貧市と指摘されたピアウイ州グアリーバ市は、「飢餓ゼロ」計画によって変ぼうした。美容院へ行くことがなかった女性らが計画実施後、美容院は昼夜営業で大繁盛だ。グアリーバ市はセルトンの黄金郷に生まれ変わり、人々の消費熱で活気を帯びている。
市民も早起きになった。市は上下水道工事を始め、雇用創出が始まった。市が飲用水槽を設置したので女性も忙しくなり、六キロメートルもの遠路を水くみのため歩く必要がなくなった。近いうち水道が引かれるようだ。
グアリーバ市は人口わずか四千八百人の町だが、市長派と反市長派の二派に別れ、それぞれの丘陵に住んでいた。いまは極貧と貧困の二派に別れ、貧困派は警察や教会、商店の近くに住み、極貧派が市の周辺に集まっている。