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レジストロ=長野県歌鳴り響く=県人移住85周年盛大に

9月30日(火)

 ♪信濃の国は十州に、境連ぬる国にして、そびゆる山はいや高く~。日本移民最古の移住地の一つレジストロに、長野県歌が鳴り響いた。
 二十八日午前十時から同市内のエピスコパウ・ド・ブラジル教会(アングリカーナ共同体)で、長野県人移住八十五周年先没者慰霊ミサが、引き続き昼から記念式典が開催された。
 リベルダーデの県人会前から六時半に出発した貸切バスの、慶祝ピクニック一行ら四十六人も参加、現地の県人合わせて約百三十人が参加する盛大なものとなった。
 同エヴァンジェリコ派教会のミサでは、聖句や聖歌が唱和され、セルソ牧師は「新しい人生を求めて様々な困難に直面しながらも、立派な成果を残した長野県の先人に、みんなで祈りを奉げましょう」と講話した。同教会は、一九二九年にマンガ・ラルガにイトウ牧師ら長野県人などが建立したトッドス・オス・サントス教会と縁が深い関係で会場となった。
 ミサの最後に、レジストロ支部長の松村昌和さん(八一、二世)が県人移住史を説明。一七年に草分けの六家族(松村栄治、久保田安雄、山室滋治、長井覚一、宮坂三治、北原地価造)が先発隊として入植し、翌一八年には七十家族の県人が、続く一九~二一年の間に六十数家族、合わせて百四十家族が入った。
 その後、各地にブラジル拓殖会社の入植地ができるにしたがい、徐々に転住し、現在残っているのは約七十家族。加えて二世、三世らが独立の所帯を持ったので、計三百家族が同地近辺にはいるという。
 ミサには、グアタパラ移住地から上原久司・県人会相談役や、遠くはバイーア州カラベラス郡ジョーエラナ村の岸寛さんらも参加した。
 ミサに引き続いて行われた記念式典で、病気の為に出席できなかった石井賢治会長の挨拶を、新井均副会長が代読。「県人入植八十五周年は、言葉に言えないぐらい感慨深いもの」と慶祝の辞を送った。
 松村支部長は「こんなに大勢の方に集まってもらって有難い」と返礼し、レジストロでの県人の活躍を説明した。中でも「教育県」との誉れが高い長野らしく、野村丈吾・元連邦下議や植木茂彬・元鉱山動力大臣らがレジストロ出身の長野県子弟であると語った。
 このように日本移民によって創始されたレジストロ市の現在の人口は八万人で、日系家族は千百家族いると言われており、市人口の一割を占める。
 式典の途中で、支部によって用意された昼食に一堂は舌鼓を打ち、約二十人の八十歳以上の高齢者に花束と記念品が、その他、功労者にも記念品が贈られた。ケーキカットの後、午後二時半頃に式典は終わり、サンパウロ市からの一行はレジストロ移民資料館を見学し、帰路に着いた。