10月1日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】地理統計院(IBGE)は二十九日、「ブラジルの二十世紀白書」を発表した。一世紀の間に人口は十倍に膨張し、資産は千倍に増えた。白書は一万六千の資料に基づき教育、保健、経済、文化の分野で発展を示した。平均寿命は倍増、文盲は五分の一に減少、カトリック教徒は減少の一途をたどり、債務は八百十倍に、インフレは百京パーセント。貧富の格差も増大し、二十一世紀の課題として取り残された。
国内総生産(GDP)は一九〇〇年には、人口千七百四十万人で十億レアルであった。二〇〇〇年は人口一億六千九百六十万人でGDPは一兆レアルとなった。所得格差は一九六〇年、一〇%の富裕層は一〇%の貧困層の三十四倍を有した。それが、三十年後には六十倍に膨れ上がった。
経済学者のセルソ・フルタード氏によれば、ブラジルは経済発展により変革するのではなく崩壊している。経済の中心は、地方から都市へ移った。地方の人口は一九四〇年、六九%であったのが二〇〇〇年には一九%へ減少した。
GDPにおける農畜産物の占める割合は、百年の間に四五%から一一%へ減った。工業は百年間に一一・六%から二八%へ上昇したが、二十一世紀は農業がアグリビジネスへ生まれ変わり、ハイテク産業として従来の概念を塗り替えた。
都市化により庶民の生活水準も向上し、平均寿命が百年の間に三十三・六歳から六十八・六歳へ伸びた。
千人当たり乳児の死亡率は、百六十二人から二十九人へ減少した。
都市化は、文盲撲滅に役立った。十五歳での文盲率は一九二〇年、六五%であったのが二〇〇〇年には、一三%に下がった。人口は五十年前、世界で八番目から、日本やロシア、ドイツを追い抜き五番目に入った。活気あふれる若者の国で有望市場とみられている。
一人当たり生産高では百年間に、五百十六レアルから六千六十レアルと十二倍も上昇し、世界ベストテンの中に入った。残念なのは経済成長が、富の再分配を含めた社会インフラの充実を伴っていない。犯罪の増加を引き起こし、経済成長の妨げとなっている。
宗教はカトリック教徒減少の反面、プロテスタントが四十九万人から二千六百二十万人に、無神論者も〇・五%から七・三%へ。
一九五七年までに、外国人移民が五百万人上陸した。三二%がイタリア、三一%がポルトガル、一四%スペイン、四%は日本人。移民ラッシュは一八九〇年代で、イタリア移民が百万人上陸しサンパウロ州へ配耕された。
二十世紀初期、刑務所など官営施設に収容された者の中で、六九%が嫡出子、一八%が非嫡出子、一二%が私生児、一%が孤児という記録もある。そのほか当時の国勢調査に、精神異常者の部類に低能、白痴、無気力、扶養無能などの記録もある。