10月1日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三十日】ブラジルの人権問題を視察中のアスマ・ジャハンジル国連弁務官は二十九日、模範的収容施設とされるピリトゥーバとブラスのFEBEM(未成年支援財団)を訪問して驚いた様子だ。
ブラスのFEBEMは定員六十二人のところ、五百人が収容されていた。当局はブラスの視察を回避する手はずを取っていたが、超満員の現場を目撃された。事情聴取に応じた未成年者が、職員から殴打されることは国連報告書には記載しないが、レンボ副知事に機密文書で報告した。同弁務官による全国の刑務所視察は十日間にわたり、拘置者の事情聴取も行った。
ブラジル治安当局職員による暗殺を、同弁務官は確認した。実態解明の報告書は、国連人権委員会において細部の検討が行われる。かかる事態改善のために政治的配慮が即時必要としている。報告書には、法廷外処理として当局による暗殺がまかり通り、処罰されることもなく闇に葬られていると明記してある。
同弁務官は二十九日、サウロサンパウロ州保安局長官、フルカワ管理局長官、ジャルジュラ法医学局長と会見した。当局職員の暗殺関与は長い歴史があるが、不罰特権は保安局長官が否定した。
昨年一年間に六百九十人の軍警が規律違反で解雇された。特にグアルーリョスで起きた事件は、法の網をくぐって闇の世界を取り仕切る者らを、法の裁きを待てず処刑したとされる。
東北伯地方を同弁務官が訪問したおり、当局職員による暗殺の実情を証言した証人フラビオ・M・シウヴァさん(三三)が、ペルナンブッコ州イタンベで何者かに射殺された。同証人は一度殺人未遂の経験があり、現在は身体障害者であった。射殺の通知を受けた弁務官は、当局の責任者は改善を誓っているが、即時改善は期待できないとした。
バストス法相は、同弁務官の訪問を歓迎している。この際ブラジルの恥部にメスを入れ、大手術を期待するという。東北伯の場合、政治家と軍警が共謀した殺傷事件が多く、その癒着関係解明のために連邦警察の特捜班派遣を検討していると述べた。