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高齢者憲章 健保掛け金、値上げ禁止=大統領、強引に承認=保健相抜きの閣議で決定=医療プラン割高に

10月3日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】「高齢者憲章」の公布式典に臨んだルーラ大統領は一日、署名した。同憲章は、高齢者の健康保険掛け金調整を禁じている。ウンベルト・コスタ保健相を除く三閣僚と、大統領は会談し憲章を承認した。保健相は高齢者の掛け金調整を禁じれば、健康保険は全般に割高になると警告した。煙草の広告、遺伝子組み換え農作物の解禁も否定され、これで同保健相の意見がほごにされたのは三度目となった。

 「高齢者憲章」を、ルーラ大統領は署名し法令化した。主な内容は公立病院(SUS)の無料診察や薬剤の無料配布で高齢者を優遇する。六十五歳以上は全員、一最低賃金の老齢年金を受領する。高齢者虐待に通告義務を負う。高齢者虐待は十二年以下の禁固刑に処すなど。まだ未決定部分があり、官報公布は差し止められた。
 大統領は、健康保険の掛け金調整禁止を認めた。大統領は同事項の拒否をしなかったが二日、最終的に打ち合わせる。官報公布により発効し、高齢者の掛け金値上げは禁止となる。
 高齢者憲章の署名に先立ち、大統領はコスタ保健相を除き、ジルセウ官房長官、ベルゾイニ社会保障相、ドゥルシ総務長官、上程者のパイン上議と会合し、原文通りで受理した。パイン上議は保健相が上程文に異議を唱えていることで、高齢者憲章は七年間も国会で放置され満場一致で採択されたもの。今、異議をはさむのはおかしいという。
 大統領が調整を禁止したので、保健相は不満の様子。保健相は六十歳以上の高齢者への掛け金調整禁止を、七十歳以上に設定することを考えていた。
 問題は調整禁止だけでなく、大統領が原稿にない発言をしてひんしゅくをかったこと。式典出席者らに「諸君が退官したら、家の中でウロウロし家族の足手まといにならないよう有意義な時間の過ごし方を考えなさい。テレビでつまらない番組を見るために、孫とソファの座席取り合いをするなら、諸君の人生はくだらない」と〃お説教〃をした。大統領の義母は七十五歳だが、中国まで歩いて行けといえば挑戦すると述べた。人生を価値あるものとするなら、人間は百歳まで生きられるとした。
 一方、六十歳以上の高齢者に対し掛け金の調整を禁じたことで、六十歳以下の契約者に負担がかかる可能性が出てきた。ブラジル団体医療協会(ABRAMGE)のアウメイダ会長は六十歳以上の契約者に、それ以下の契約者の五倍の費用がかかるとした。この赤字補てんで、保健監督庁や保健省と調整交渉を行うと述べた。
 健康保険企業の予測では、収支の均衡を保つため五十歳代が負担するようになる模様だ。六十歳以上は恒常的な病院通いの人が急増するという。