10月3日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二日】ドンナ・リナック在伯米大使は一日、二〇〇五年四月の任期を前に、来年三月をもって帰国となった。異例の人事移動で女性大使の帰国命令は、初めて。ルーベンス・バルボーザ在米ブラジル大使の辞任帰国と偶然、重なった。
米国の大使は、三年が任期であった。同大使は、二〇〇二年四月に着任。ホワイトハウスは、前任のハーリントン大使退官の二〇〇一年三月から起算したようだ。前大使帰国後、在伯米大使館は一年間も大使不在であった。
同大使は、PT政権から好感をもって迎えられた。ルーラ・ブッシュ首脳会談のおぜん立てをし伯米同盟の締結を試みたのも同大使であった。ブラジル在任中には、大荒れの世界貿易機関(WTO)の閣僚会議があったり、国際舞台でのブラジルの台頭が目立つなどで忙しい日程であった。
すでに外交官生活を三十年務めたので、帰国後は定年退官を希望している。米政府は同大使の後任として、政治家の起用を考えているようだ。外務省は米政府の戦略変更を分析中で、ブラジルにとって有利か否かの結論は時期尚早という。
人選は決定済みだが、発表を控えているようだ。政治家外交官は、米大統領へのチャンネルを通すには好都合とされる。これまでの在伯米大使の四〇%は、政治家出身であった。英国やフランスへ赴任する米大使は全員、政治家出身だ。ブラジルへの大使も、大統領の意図で政治家起用となったようだ。