10月3日(金)
今年上半期の在日ブラジル人の検挙件数が、前年同期比で半減している。憂慮される少年犯罪も昨年上半期の八三九件から、今年は三二八件と半分以下になった。ただし薬物事犯検挙人員では、イラン人を抜いて不名誉な一位に。激減した理由はよく分らない状態であり、単純には喜べない状態のようだ。
警視庁の『来日外国人犯罪の現状(二〇〇三年上半期)』によれば、昨年上半期の検挙件数合計は一万五四二三件だったが、今年は一万八五七九件と二割も総数が増加した。
国籍別検挙件数を比較すると、一位の中国人は昨年上半期の五二三〇件(検挙人員二九九五人)から、今年は七四四九件(四一〇九人)に増加し全体の四割を占める。第二位のトルコ人は一〇一四件(三九人)から二七〇一件(八二人)と激増。
第三位のブラジル人は三六一五件(五八六人)から一九三六件(五三四人)と人員は横ばいながらも、件数は約半減し、全体の一割を占めるにとどまった。第四位の韓国人は一〇八五件(七六四人)から一二二八件(八三五人)と微増だった。
サンパウロ総領事館警備班の大熊博文領事は「今年ブラジル人の件数が減った原因はよく分らない」としながらも、「検挙人員はそれほど減っていないから、単純に減ったと喜べない数字」と慎重なコメントをする。
ただし、覚醒剤などの薬物事犯国籍等別検挙人員の推移では、数年来一位を占めてきたイラン人を抜き、ブラジル人が不名誉な一位となった。昨年上半期のブラジル人検挙人員は七六人で、今年は更に減って七二人だったが、イラン人が昨年の一一八人から六九人に激減したため、結果的にブラジル人が一位に浮上した。三位のフィリピン人まで入れると検挙人員総数の約半数になる。
外国人少年刑法犯(十四歳以上二十歳未満)では依然としてブラジル人が一位だが、昨年比で激減している。昨年上半期で八三九件(一七六人=全件数の七四・四%)だったが、今年は三二八件(一四二人=三六・六%)。二位の中国人は一七〇件から一六三件でわずかに減った。
発生地域・国籍等別検挙件数で、最も件数が多い関東地域(東京都以外)では四一三件中の九七件(二三%)をブラジル人が占め第一位。デカセギの多い愛知県などの中部地域二六五件中の二〇四件(七七%)がブラジル人で、依然として大勢を占めている。