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所得格差拡大の一方=大都市の多くは停滞=豊かなサンタ・カタリーナ州=グローバル化のつめ跡

10月4日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三日】応用経済調査院(IPEA)は二日、過去十年における文化水準指数(IDH)を発表し、貧困層は減少したものの所得格差が拡大したことを明らかにした。ブラジルの三分の二の都市では貧富の格差が広がり、九九・九%の都市は生活水準がやや向上した。所得の偏重で教育の機会は、さらに不均等となった。調査は所得、教育、平均寿命を基本に行われた。

 サンパウロ市やリオ、ベロ・オリゾンテ、ポルト・アレグレなど三十三大都市は、生活水準が全般にやや低下したが、中流階級は向上した。特に向上したのは、フロリアノポリスをはじめとするサンタ・カタリーナ州の六都市だ。
 ブラジルの生活水準は平均で世界の第六十五位だが、フロリアノポリス市周辺だけでみれば、世界第三十三位。ブラジルのベスト十都市のうち、六都市はサンタ・カタリーナ州が占めている。同六都市は周辺都市をも、経済的に潤している。文盲率は〇・四%、平均寿命は七十二歳、一人当たりの所得は七百レアル。
 三十三大都市の中で最下位は、ミナス・ジェライス州の鉄鋼地帯。この地域には二十二都市がひしめき合っているが所得の増加は困難視されている。この中でイパチンガとチモテオの二市だけが、例外であった。
 サンパウロ市やリオデジャネイロ、ベロ・オリゾンテ、ポルト・アレグレ、レシッフェ、サルヴァドールなどの六大都市は、三十三都市の中でいずれも文化水準を下げた。サンパウロ市は三位から七位へ、リオは九位から十五位へ、ベロ・オリゾンテ十二位から二十位へ。
 国内都市別では最高がサンカエターノ・ド・スール市、ニュージランド並みの世界第十九位、平均寿命七十八歳、一人当たり所得八百三十四レアル。最低がマラニョン州マナリ市、平均寿命五十五歳、一人当たり所得三十レアル。
 サンパウロ州サントスをはじめとする海岸地方は、文化水準が国内八位から十三位へ。サントス港湾やコジパ製鉄の民営化やクバトンの工業団地化は、地域住民の所得低下を招き文化水準も低下しだ。
 サンパウロ州はブラジルのけん引車と見られていたが、エンジンは車検の時期に来ている。一人当たり所得が三十八レアル以下の貧困層が十年前の二〇・二四%から一九・四%へ減少した。一方、増加したのはアマパ州とアマゾナス州の二州と首都であった。貧困層が最も少ないのは、サンタ・カタリーナ州の五・九二%だ。
 人種別にみると白人の平均所得は四百六レアル、黒人が百六十三レアル、全国平均二百九十七レアル。白人の生活水準は世界で四十四位と同水準、黒人は百四位と同水準だ。 
 所得格差増大の原因についてサンパウロ市労務課のポシュマン課長は過去十年、工業都市を襲ったグロバリゼーションによる生産調整の影響としている。また政府の緊縮政策により自治体も経費削減を余儀なくされ、多くの下級職員を解雇した。税収は十年前、二〇%を自治体へ交付したが現在は、九・五%に低下したという。