10月4日(土)
警察を装って日本人のシッチオを狙う強盗が、サンパウロやアチバイアを徘徊しており、厳重な注意が必要だ。
九月四日午後二時四十分頃、アチバイア中心部から七キロ離れた地坂満夫さん(和歌山県人会会長)のシッチオが、警官を装った三人組の強盗に襲われた。
私服で警察手帳を見せる二人組は、「パトカーが近くで故障したから歩いてきた」と奇妙な説明。その時、ブラジル人家政婦二人と妻・昌子さんしかいなかった。「盗難車が見つかったがお宅の車かもしれないから、中へ入れてドクメントを見せてくれ」。最初屋外で対応していたが、そう言われてドアを開けると豹変し、いきなり「伏せろ!」と大声で命令。
外で見張りをする仲間と常にトランシーバーで連絡。後から、もう一人が屋内に進入。一時間半にわたって家を荒らされ、昌子さんは殴られ金品の在り処を説明させられた。この手の強盗は「日本人はデカセギ帰りでドルを持っている」ことを前提とした口のきき方をするそう。
「指輪を外せ」と強盗は昌子さんに命令。結婚して以来、外したことがない指輪はなかなか外れない。「指を切れ!」と一味が叫ぶ。「唾をつけて外そうとしたけど、そういう時って、口がカラカラに乾くんです」と彼女は恐怖の一瞬を回想する。結局、無事外れた指輪以外に、ビデオカメラ、カメラ、貴金属類などを持っていかれた。
どうやら、屋外には三台の車が停められており、各車に二人ずつ計六人が犯行に関わっていたらしい。強盗は逃げる前に昌子さんらの手足を縛り上げ「一時間以内に警察に連絡したら殺しに来る」と脅して、引き上げた。
後から昌子さんが聞いた話では、地坂さん宅を襲う直前に、隣のシッチオに同様の二人組が訪ねてきたらしい。娘が対応したが、以前似たような手口で被害を受けた経験がある娘は、何を言われてもドアを開けなかった。またそこは、母屋の入り口から男性使用人が多くいる作業場が近く、それを見た二人組は犯行を諦めたもよう。
そして昌子さんはサンパウロで友人に強盗にあった経験を語ると、「こちらでも同じようなことがあった」という話を聞いたそう。
警察手帳を見せられても、安易に屋内に入れるのは要注意のようだ。