トリニダード トバゴ会議 FTAAでブラジル孤立=米国が多数派工作=積年の対決姿勢が表面化=WTOのしこり残す
10月7日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】トリニダード・トバゴ共和国で開催された米州自由貿易地域(FTAA)準備会議で協定範囲を三地域に分け一定枠を設けるブラジル案が三日、否決された。メルコスル加盟国のウルグアイとパラグアイまでも含めた会議参加国多数が伯案を拒否した。伯米間に長い間くすぶっていた対決姿勢は同会議で一挙に表面化、ブラジル代表団は孤立させられた。米代表はブラジルの非協調性をそしり、孤立化へと追い込むため奔走した。
トリニダードトバゴ共和国のポートオブスペインで行われたFTAA準備会議は、ブラジル代表団代表にバハジアン大使を立てて臨んだ。同会議は、十一月二十日マイアミで開催されるFTAA本会議へ向けた準備会議であった。
二日間の前交渉期間が設けられ、三日午後をもって同会議は終了したが何ら結論を得ぬまま閉幕した。棄却されたブラジル案は、米州を三地域に分けた自由貿易協定とするものであった。米代表は米主導の一括自由貿易協定を要求し、当初から伯案を葬るブラジル孤立化工作が行われた。
準備会議は外交辞令抜きで、ざっくばらんに始められた。難航はあったが双方が忌たんない意見を述べたことで下準備は十分だと、伯代表はみている。伯案は首脳会議や閣僚会議でも明確に提示したことで、斬新的かつ工夫をこらしたものと説明した。
提案は米州三地域の事情を考慮した自由貿易であること、米主導で米本位の自由貿易は容認し難いとする内容。伯代表はウイルソン米代表に対し、準備会議でもFTAA本会議でも、農産物の補助金問題と関税外障壁問題は討論の対象外であると明言した。あくまで世界貿易機関(WTO)で争うべきだとした。
伯米はFTAAの両輪であれば、一両日中に結論は出ないとみている。来月のマイアミ閣僚級会議で結論を出すとすれば、カンクンWTO会議の二の舞になると伯代表はいう。米州の工業基盤もない弱小国の合意を取り付けてのFTAA発足は、無謀だとした。
長い間くすぶっていた伯米両国の貿易摩擦は、一気に発火点に達したようだ。伯代表は八年間米国の後塵を拝し、いまこそ対決のときだと宣言した。米代表は伯代表の非協調性を非難して、ブラジルは少数派意見だと強調した。
バハジアン伯代表は記者の質問に答えて、米国の数合わせだけでは〃貿易戦争〃に勝者も敗者もないとした。ブラジルのFTAA戦略は二〇〇五年一月に照準を合わせて、要求貫徹の予定だという。それがルーラ・ブッシュ会談の目標でもあったはずだとした。
メルコスル議長国のウルグアイがメルコスル案を提出しておきながら、多数側に寝返ったのは予期しなかったと伯代表団は述懐した。