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8月の鉱工業生産急伸=経済活性化始まる=耐久財の伸びがけん引=生活必需品はまだ低迷

10月10日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】地理統計院(IBGE)は七日、八月の鉱工業生産が前月比一・五%増の伸びを見せ、生産販売ともに今年上半期の不況を脱したと発表した。内容は耐久財の〇・五%を筆頭に、回復の兆候を見せた。工業製品の販売は、基本金利の引き下げを受けて前月比二・八九%増と伸びた。消費は十月の初六日間にローンによる販売が上昇し、一月以来初めての現象を呈した。

 産業界は思わぬ活性化で、自信を取り戻している。前月比一・五%増は、昨年九月以来の活気だ。自動車をはじめとする耐久消費財が動き出したことで、景気回復の手ごたえを感じた。関係者は〇・五%増ぐらいと見ていたが、期待以上の反応に驚いている。
 中央銀行のメイレーレス総裁は七日、インフレが沈静するなど景気回復対策は打たれていたので必然の結果だという。このまま景気は浮上し、二〇〇四年の経済成長率を三%とみていると述べた。
 中銀通貨担当のカンジオタ理事は第三・四半期を回復期とにらんでいたという。第四・四半期は経済再生へ向けて動き出し、中銀の通貨政策が正解であったことを証明すると述べた。 
 IBGEの工業担当サーレス課長は景気回復が八月は徐々に、九月から加速化するとみている。特に注目されたのは、自動車など耐久財の前月比五・二%の伸びが工業界へのインパクトとなって活性化のけん引になったこと。
 自動車には基本金利の引き下げと工業製品税(IPI)の減税が大きな要因となり、消費者に新しいローンを取り付けたさせた。
 薬品、食品、衣料など非耐久財は八月、複雑だった。失業がまだ定着していたので前月比〇・八%減、前年比では七・八%減と厳しかった。特に衣料は前年比二二・九%減、薬品も前年比二二・九%減、飲料は前年比一六・八%減と軒並み〃冬の時代〃であった。
 非耐久財は生活必需品であり雇用と所得に左右され、景気回復に余り影響はない。IBGEは鉱工業のリセッションを第三・四半期で終了と宣言した。
 全国工連(CNI)は機関紙で、製品販売が前月比で二・八九%も増加したのは、基本金利引き下げの影響であったとしている。企業は第一・四半期から在庫の処分に窮していたので、中銀は通貨政策に柔軟性を持たせて欲しいという。鉱工業の八月成長率は三・七七%と好調、二月以来で最高だ。
 景気低迷から回復したとはいえ、昨年八月の同月比でみると二・八六%減と低水準で完全回復とはいい難い。これは労働者の所得低下と金融引き締めの結果だとしている。鉱工業生産の今年度末決算は二〇〇二年の成長率と同じくらいとCNIはみている。今年はローンが十分でなかったので、せめて小口与信の強化に期待するとしている。