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円高で銀行に殺到するデカセギたち

10月10日(金)

 先週、日本円と米ドルの為替相場の変動により、円高ドル安傾向が進んだことで、在日ブラジル人たちが米ドルへの換金や家族への送金をしようと銀行に殺到している。交換額に制限のある銀行では、ドル紙幣が不足する事態に巻き込まれているという。四日付、インターナショナル・プレス・オンラインが報じた。
 在日三年になるマルシア・ハシモトさん(三一)は帰国を予定していたが延期。円高ドル安となった今、もう少し日本で仕事をし、収入を得た後に帰国を考えることにした。
 群馬県邑楽郡の機械オペレーター、フェリスベルト・イノウエさん(四三)はドル換金しようと六つの銀行を渡り歩いたが、「たった二千ドルしか換金できなかった」という。イノウエさんは、安値で購入したドル紙幣が値上がりするまで待つつもりだ。
 しかし、在日九年を迎え、すでに日本で円高ドル安現象を経験したノエーミア・セグラさん(三六)は悲観的だ。「ドルが百十円以下になることはない。ドルがこのまま下落すれば、日本の外国人は職を失う」と話す。日本の輸出用製品が高値になるため、工場での生産量が減少、雇用過剰になるためという。
 バネスパ銀行東京支店も、先週の客足は通常の一〇〇%増と発表、同店のツトム・サコダ総支配人は、ブラジル人は常に為替相場とともに不安感をつのらせるが、顧客は目的もなくブラジルにドル送金をしないよう勧めている。サコダ総支配人は、「いま、必要がないなら、強い貨幣で貯金した方がいい」と忠告している。