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FTAA交渉 外務省に主導権=財務省への委任拒絶=外相、閣議決定を認めず=次官留任させ現状維持

10月15日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】セルソ・アモリン外相は十三日、米州自由貿易地域(FTAA)の交渉権限がギマランエス外務次官からパロッシ財務相へ移ったことで、交渉の最終責任は外相にあると先の閣議決定に不満の意を表した。「外務次官をその任から解くなら、私自身を解くべきだ。大統領から国際交渉の信任を受けているのは、私自身である。FTAA交渉の責任者は私であり、次官ではない」と反論した。

 政府のFTAA戦略変更で外相は十三日、リオ州工連で講演質疑の席上、外務次官の交渉団代表交代を否定した。またプラナウト宮で行われた映画振興策の会議後、外務省は交渉責任を財務省へ委託しないと閣議決定をも否認した。
 外務省は交渉の作戦を立てるとき関係省庁やNGO団体の意見を求めるが、国家戦略の骨子は不動で、その骨組みを第三者に委託するようなことはあり得ないとした。従って外務次官は他省庁から圧力をかけられても、任務続行に変更はないことを明らかにした。
 先に行われたトリニダードドバコのFTAA準備会議で、ブラジルが孤立したという見方は浅慮な見解であると、外相は非難した。同会議でブラジルの立場は、メルコスルを代表するもの。ASEAN(東南アジア諸国連合)会議で中国やインドが孤立というのと同じくらい愚論だと指摘した。
 外相はFTAA交渉に全力を注いでおり、FTAAの本質は多くのブラジル人に理解されていないと述べた。FTAAとは是非の問題ではなく、ブラジルが希望するFTAAを完成することだとした。
 FTAAは米国市場に大量のブラジル産品を輸出するだけでなく、ブラジルの大手企業が国産の工作機器を利用する国家戦略も含まれていると見解を述べた。
外務省へ圧力をかけるのは、米政府の背後で暗躍する勢力のお先棒を担ぐ輩であると抗議した。
 国際間に新勢力として台頭するブラジルにかかる圧力で、外相は大統領と共闘して立ち向かう用意があるという。ブラジルが中心となって農産物の完全自由化を目指しG22途上国連合を組織したことで、執拗な阻止圧力があることを明示した。途上国連合の中には後難を恐れ離脱した国々もあり、いまはG-Xと呼ばれている。
 世界貿易機関(WTO)カンクン閣僚会議は農産物自由化で合意に至らず決裂したが、外相は先行きを楽観視している。農務省や産業開発省と多少の見解の相違はあるが、政府の方針は一枚岩であることに変わりはないと、外相はみる。
 伯米交渉には単なる貿易問題だけでなく、米政府の覇権主義に立脚する地政学的問題も含んでいる。通商面に携わる人は通商面を重要視するが、地政学では通商はその一部に過ぎないと、外相は外務省の立場を説明した。