10月15日(水)
ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)の定例昼食会がサンパウロ市内のホテル・ソフィテルで十日行われ、Lifesec社代表の柳田コウジ氏が「治安対策について」、アルゼンチン日本商工会議所の宮一宏会頭が「最近のアルゼンチン情勢と日亜FTA」について講演した。
三十五年の軍警経験から警備会社を設立した柳田氏は、主に誘拐対策について講演。「一端、犯人から狙われたら、防弾車や警備員がいても阻止することは難しい。まず、必要以上に金持ちに見られないことが最初の対策」とした。最も狙われやすい通勤路では、病院・警察・スーパーなど人が集まる場所を予め調べ、万が一の場合はすぐに逃げ込む。また、カードを五、六枚も持ち歩かないこと。
防弾車でも、同じ場所に五発撃ち込まれたら貫通するので、移動して同じ場所を撃たれないよう、一端停止する場合は車間を十分にあける。罰金を払ったとしても、夜は信号に止まらないようにする。「スキのある人ほど、犯人から狙われる」などと語った。
亜日商工会議所の宮会頭はまず同国経済の概要を説明。昨年一―三月の経済大混乱により経済規模が三分の一になり、かつて一人当たりのGDPが八千ドルあったのが、現在では二千六百ドル程度に減ってしまった。ペソの価値が三分の一に下落したため、次のような現象が起きている。
(1)輸入が減り、代わりに繊維・皮革・金属・機械などの代替産業が復活、(2)外国旅行が割高になったため国内に切りかえるケースが多くなり、観光業が伸びた。昨年は五百万人だったが、今年は千七百万人と見られている。(3)アパートの値段も三分の一になったためマンション建設ブームが起きている。もともと国外に逃がしていた資金が逆流している可能性を示唆した。
これらの結果、「今年の成長率は六%を超える見通しで、上昇気流にある」という状況。ただし、まだ生産設備投資、従業員新規雇用の状況にはない。八百七十億ドルの民間債務を七五%削減するなどの〃前代未聞〃の提示を政府がするなど、「どういう形で決着がつくのか、注目の的になっている。国際社会復帰には、まだ時間がかかる」とした。
【会社代表交代】◎日立空調ブラジル(旧)天羽義一▽(新)河内山茂吉、◎ジェトロ・サンパウロ(旧)柳田武三▽(新)桜井悌司、◎Cotonificio Kurashiki(旧)吉田純一▽(新)須賀治、◎Mitani Otica(旧)村山利文▽(新)大蔵研一(敬称略)。
会議所が臨時総会
定款改正などを承認
昼食会に先立ち、同会議所は臨時総会を開催し、定款・選挙規則修正案を賛成多数で承認した。百社の代表が出席し、委任状は十五社だった。
山田監事会議長より、より魅力的で開かれた会議所にする方針と、新民法に適応させるための改正が中心だと説明された。主な改正点は、常任理事会の「四専任理事、四財務理事」が「八専任理事」と修正された点や、委員会のメンバーに「副委員長」も設けた点、管理者の罷免や会員の除名に関して新民法に合わせた点、その他、表現の明確化のための字句削除・加筆が行われた。
改正に基づいて今後、常任理事会の選挙が次の日程で行われる。▼二十一日=選挙公示、立候補者用書類送付、立候補受付け開始。▼十一月十一日=立候補受付け締め切り。▼十一月十四日=立候補名簿の送付▼十一月二十一日=臨時理事会開催、選挙実施。結果報告と承認。選挙委員会の解散など。