10月16日(木)
[ドラセーナ]「おじいちゃん、大好き!」「いつか、日本へ行って学びたい!」―三百人以上がすし詰めになった会場で、元気な日本語が響き渡った。さきごろ、フロリダ・パウリスタ文協会館で、第三十六回汎パウリスタ幼少年お話大会が開かれた。サンパウロ州奥地の日本語学校生徒に少しでも日本語を話し、発表する機会を与えようと、汎パウリスタ連合文協が主催している。
今回は、日本語学校十一校が参加。五歳から成人クラスまで百九十三人の生徒が詩を朗読したり、自作の作文を暗誦するなどして、日頃の日本語学習の成果を披露した。会場からは、幼いわが子、わが生徒の姿にほほえましい拍手がおくられ、また年長者の発表には同感したり、感心したりする声がもれ、終始和やかな雰囲気につつまれた。
入賞者は各カテゴリーごとに上位二五%。名前が呼ばれるたびに大きな歓声が沸き起こり、教師に飛びつく生徒、こどもの入賞を喜ぶ親、仲間の入賞をともに喜び合うこどもたちの姿が見られ、会場は一気に興奮のるつぼと化した。
審査委員長として招かれた佐藤吉洸氏(日本語普及センター役員)は「年々レベルが向上している。これからはできるだけ台本を見ずに『お話大会』の名前のとおり、みんなにお話するような発表を期待したい」と講評。
フロリダ・パウリスタ市のアンジェリーナ・ステファニ教育課長は「日系子弟が少しでも日本語や日本文化を継承していくことが、ブラジル社会全体において大きな貢献をもたらす」と、今後の日系社会、ブラジル社会への影響について述べた。
同地で勤務している日系社会青年ボランティアの安部夕紀子さん(日本語教師)は「奥地の日系コロニアでは、年々日本語の継承が難しくなっている。しかしながら、地域の日本語学校が集い、このような大会を行うことで、少なからず子供たちの意識を向上させていくことが期待できるだろう。大会で見られた生徒たちの生き生きした表情が、日系コロニアの将来を担ってくれるような気がした」といっている。