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会議所講演会=進出企業のビザ問題=商業と労働の違いに注意

10月17日(金)

 ブラジル日本商工会議所のコンサルタント部会(西川悦治部会長)と日伯法律委員会(村田俊典委員長)は共催で、三日午後三時からサンパウロ市内ホテルでビザに関する講演会を開いた。駐在員のブラジル就労ビザ取得で問題が増加している現状を踏まえたもので、活発な質疑応答が行われた。
 講師は、外務省移民局顧問のラルフ・ペーテル・エンデルソン氏で、国家移住審議会の補充理事も兼任する。
 まず、同顧問は「問題が起きやすいのは商業ビザなのか、労働ビザなのかはっきりしない場合」と指摘。「不要な手間を避けるために、最初から、仕事内容をできるだけ詳細に記入してほしい」と要請した。
―観光、商業、労働の各ビザの違いは?
 「観光ビザはあくまで観光するためのもの。商業ビザは営業取引き、市場調査、契約締結のため。観光できてビジネス契約するのは無効。養子縁組は一種の契約だから商業ビザが必要。商業ビザで機械をいじってはいけない。技術者の仕事は労働ビザ。ブラジル国内で報酬を受ける場合も労働ビザと見なす」
 今講演会のコーディネータ、高田フェルナンド氏は「機械を売るまでが商業ビザ、売った後、据付けやトレーニングが労働ビザ」と解説する。商業ビザは在日総領事館で二~三週間で取得できる。労働ビザの場合、ブラジル側雇用企業が労働省に書類提出して許可が出るまでに十~三十日間、その後、在日総領事館で二~三週間かかるため計一カ月半ほどかかる。
―日系進出企業は日本の領事館でビザが出なくて困っているが?
 「問題は当方ではなく、皆さんの方にある。数年前にそれを乱用したことがあったことに関係する。当時、名古屋領事館で調べたら、多数の商業ビザ申請が、実は労働ビザだった。あまりに商業ビザ申請が多かったために、制限を設けなければならなかった。とにかく商業ビザの場合は、業務内容を詳細に書くことをお薦めする」
―家族呼び寄せビザの場合、名古屋と東京の総領事館で必要とされる書類が異なることはありえるのか?
 「名古屋でも東京でも一緒のはず。以前に比べ、家族呼び寄せビザの書類は半分近くに減らしている。それでも九十日以上かかる場合は〃病的〃。実際に発給が遅れる場合があるのは事実で、現地からは『従業員不足のため』と言ってくる。例えそうでも、理不尽な遅延はいけない。
 実際に違う書類を求められる場合がある。その時はメールを私に送り、改善のために、皆さんの声を寄せて欲しい。ブラジルでは駄々をこねる権利は全員に認められている。解決するかどうか分からないが、担当機関のために役に立つはず」
―観光ビザの相互免除については?
 「ビザ免除については日本政府に聞いて欲しい」
―国家移住審議会の業務は?
 「法律で規定されていない特例を規定するのが審議会。十六人からなる審議会員が討議し、決議書として発行する。会員としては労働省、法務省、観光省など十一~十二の省庁代表と三つの産業組合連合会、農協などから構成される」
―新政権は決議書の見直しに力を入れているようだが、下院議員を通してどのような働きかけが可能か?
 「こちらのような会議所は発言力があると見なしている。会議所名義で直接提案してもらえば、審議会で相談する必要があると理解する」
 現在、国家審議会で「新外国人法」案が討議されており、いずれ一般に公表され、広く意見を募るとのこと。現法が外国人就労に厳しいことを認めた上で、「グローバリゼーションに適応させる方向で法律を改めている」ことを明らかにした。「ただし、新法ができるまでは現行法内で対処するしかない」と語った。