洗練されたブラジル料理を食べた。満足がいったが、食器をみると、当然のように丸く、白い陶磁器だ。料理は良かっただけに、食器への気配りが足りないように感じる。多様な、日本の食器を思い出した。
秋田県川連漆器の産地を訪れた時、職人の多彩さと作品の完成度に驚く。
木材から、お椀の形に削る丸もの木地師、四角い盆の形に削る角もの木地師。削ったものに漆を下塗り、本塗りする塗り師。さらに、場合に応じて蒔絵、沈金で装飾を施す職人たち。
川連漆器は、普段使いが目的。輪島の豪華さは無いが、栃やブナ、欅(けやき)の木地と分厚く塗られた漆で堅牢、素朴。青菜の煮物などは、漆の朱に緑がよく映える。
ブラジルの陶磁器は、実用的で少々冷たい、工場が背後に見え隠れするようだ。職人の顔が見える食器を探している。 (佐)
03/10/17