10月18日(土)
来年1月25日のサンパウロ市制450周年式典に間に合うように、現在ルス駅で修築工事が行われている。1901年に創設したイギリス様式のこの駅は、歴史遺産に指定されており、修築工事をめぐって市・州・連邦政府の3つの遺産管理機関から工事反対意見が出たため、工事は見合わせられていた。サンパウロ州管轄の同工事は結局、工事計画案を変えることで解決策に向かっている。ここではそのいきさつを掲載しよう。
3機関とはサンパウロ市歴史・文化・環境財産保護審議会(Compresp)、サンパウロ州歴史・建築・美術・観光財産保護審議会(Condephaat)、国立歴史・美術遺産院(Iphan)である。
式典に間に合う修築部分は駅の外側のみ。改築工事が終了すれば、同駅から地下鉄(メトロ)への乗り換えが可能になるという。
3機関から反対されたのは、建築家パウロ・メンデス・ダ・ロッシャ氏(74)提案の駅内部の改築計画だった。同氏は、駅を文化センターに変身させるアイデアを発表。駅ビル2階に経営事務所のほか、市立校の教員などが使う小講堂や教室を設置。さらにポルトガル語圏諸国コミュニティーの事務所も設置する予定だという。
3階には、長さ120メートルの〃未来のトンネル〃を建設し、「我々の言語のルス駅」という永久展示場を設置。初めてポルトガル語で書かれた書類などの貴重な文献を展示する。また、バーもつくられる。
最大の問題点は、小さな事務室が多くある駅ビルをどのように展示会場や公共スペースにするのか―。ロッシャ氏の計画では、内部の多数の壁を取り壊すことになっている。だが、それによって、19世紀の英国様式事務所に使われた木製のドアやデコレーションなどがすべて失われることになる。
グローボTV局や郵便局、IBMブラジル支社、携帯電話会社ヴィーヴォ、社会経済開発銀行などの強力なスポンサーに後押しされ、予算3千万レアルに融資と、工事を一気に終わらせるだけの条件はそろっているが、計画上の問題で工事はストップ。計画は不合格になってしまった。
重要文化財保護機関側は、「建築家は非常に素晴らしいアイデアを持っている。だが、重文に関する知識に乏しいことが多い。違法建築をさせないためにも、我々が〃悪役〃となってアイデアを不合格にしているのだ」と説明している。
その後、不合格点を検討したロッシャ氏は、新しい建築案を提出。今回は機関の技術士たちからも好評だったという。
(フォーリャ誌)