10月18日(土)
モジ・ダス・クルーゼス市に日系老人ホームを──。野村次郎援協第三副会長(モジ文協前会長)が十六日の援協理事会で、同市内、近郊で日系人の高齢化が顕著になっていることを明かした。モジ文協は今週、老人問題に関する相談所をオープン。地域住民の意見や要望を吸い上げていく考えだ。約三十人が施設への入所を希望しているという。
援協は今年一月から七月まで、サンパウロ圏内で「要介護老人実態調査」を実施した。モジ市中心部だけで七十五歳以上のお年寄りが二百四十八人いることが分かった。
これらの人はモジ中央日本人会に所属している。モジ文協は周辺の日系十二団体による連合体で、全地区を含めると、七十五歳以上が千人弱に達する見込み。
援協巡回診療班(根塚弘班長)は年に五回、モジ市、近郊に向かう。来診者が多く、午前中に開始した健康診断の結果が午後七時すぎになるまで出ないことも。
高齢者に関する問題はこれまで、文協事務局が扱ってきた。相談件数の増加や内容の多様化で手に負えなくなったため、専門部署を設置。野村副会長と須田常忠援協理事=同市在住=が対処することになった。
実は、モジ市内中心街から自動車で十分ほどの距離に老人ホームの建設予定地(一万五千平方メートル)がある。福祉に役立ててほしいと、足立芳江さん(七九)が〇二年三月に、所有する農地を援協に寄贈したもの。
関係者は月に一回程度、集まって新施設の青写真を練っている。相談所に入ってきた要望をできるだけ、反映させていく方針だ。
老人ホームへの入所希望者の中には、援協傘下の施設を見学した人もいる。入所を決意した人はいないという。「『立派な場所だった』とみんな話すけど、何故なのですかね」と野村副会長は首をかしげる。
援協は保養センターのカンポス桜ホームを含めて、四つの老人ホームを経営している。入所希望者が後を断たないのに、いずれも定員数に満ちていない。入居者数の低迷が維持運営を圧迫している施設も。
野村副会長は、老人ホームが敬遠される理由を調査するよう、理事会で注文をつけた。自身、援協傘下の四ホームをはじめとする施設を視察。お年寄りの好む空間について、調べる考えだ。