10月23日(木)
【ヴェージャ誌】国家の命運をイタマラティの外交官らに委ねるには、余りにも重大な任務といえそうだ。大統領は、ブラジル代表団に現実的な交渉成果を求めた。外交官らの独善外交に歯止めをかけ、途上国連合を率いたことで将軍気取りでいるのをいさめた。
もしもFTAA列車に乗り損ねた場合の七つの功罪を、次に列記する。
【一】北米自由貿易協定(NAFTA)の場合、ブラジルと同じ状況にあったメキシコもNAFTA発足前、不安に覆われた。しかし、いざふたを開けてみるとメキシコの輸出は三倍に増加。従来の一次産品輸出二百九十億ドルから、加工品を中心に七百三十億ドルへと伸びた。メキシコにできることが、ブラジルにできないか。
【二】外交官は往々にやり過ぎ、けんかに勝って商売に負けることがある。米国の狡猾な外交専門家に比べたら、ブラジルの外交官はまだ赤子に等しい。
【三】農産物問題を一括して討議するのは、無謀だ。部分的に小さな合意を取り付けで根回しをすべきだ。交渉戦略よりも蛮勇を振り回す外交官が、ブラジルに多い。
【四】FTAA準備会議での戦略は、TVドラマにちなんで〃クバナカン計画〃と呼ばれた。キューバに倣うという意味らしい。ブラジルの貿易は近年、全世界の〇・八九%に落ち込んだ。FTAAから抜け出すなら、さらに落ち込むと予想される。
【五】ブラジル経済が世界経済の歯車の一つとなっていることは、サンパウロ市証券市場を見れば分かる。米国は、ブラジルに中国の五倍の資金を投下したから、FTAAはブラジル抜きで締結しない。ブラジルは国内市場だけでも自活できるとみている高官がいる。閉鎖経済は、旧ソ連がその不合理をすでに証明した。
【六】FTAAの魅力は何か。ブラジル人の出世頭とみられる世界最大のアルミ・メーカー社長、ベウダ氏がブラジルの国内総生産(GDP)一兆レアルを三兆レアルに引き上げるには、FTAAを通じてのみ可能だという。
ブラジル人の平均所得と生活水準を引き上げるのは、FTAAだ。FTAA以外で達成しようというのは白昼夢だ。ブラジルは、米国を理解する必要がある。中国もインドも米市場への太いパイプを持っていると、同氏は忠告する。
【七】先進国の保護貿易は、テロと同じくらい危険だとする見方がある。先進国内には、保護貿易を支持する大きな勢力がある。ブラジルが保護主義をあくまで攻撃対象にするなら、反対に逆ねじを食わされる可能性もある。