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基本金利1%引き下げ=景気回復に至らず=思い切った金融緩和必要=5カ月連続で7・5%下降

10月24日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】中央銀行の通貨審議会(COPOM)は二十二日、インフレが下降傾向にあることで基本金利(SELIC)を一%引き下げ、年一九%とすると発表した。この五カ月連続で引き下げ幅は、七・五%となった。産業界は、金利引き下げが失業増加を止めたものの経済の回復には至っていないとしている。思い切った金利引き下げと生産部門への投資の奨励策を打つように、強く要求している。

 中銀の基本金利引き下げ発表に伴い、ブラジル銀行やブラデスコ、HSPCの三行とアラプアン・ローンは同率金利引き下げを発表した。金利引き下げは業界からは歓迎されたが、その効果が表れるのは六カ月後とみられている。
 消費者物価指数は下降傾向にあるとはいえ、九月の〇・五七%から十月には〇・六六%に上げている。COPOMは今年の年末に基本金利を一七%まで下げ、強制預託金の預託率も引き下げる予定なので、厳しい判断を迫られることになる。
 また九月の実質所得が昨年同月比で一四・六%も減少し、購買力が減退しているので、もっと思い切った引き下げに踏み切るべきだという意見も多い。これまでの小刻みな引き下げでは、経済の落ち込みを回復できないと関係者はみる。今後十二カ月間のインフレ率は六・二七%。二〇〇四年度のインフレ率は六・〇一%、目標率五・五%を少し上回る程度とみられている。
 地理統計院(IBGE)が九月、全国六大都市の失業率を調査したところ八月の十三%に対し、九月は一二・九%と解雇は止まったようだ。しかし勤労所得は昨年同月比一四・六%減と大きく落ち込んだ。一方、九月は臨時採用の労働者が激増している。
 例年九月は年末商戦のための採用時期とされるが、今年は薄給と非正規雇用が特徴とIBGEはいう。それでも八月よりは、状況は好転している。労働者の九月平均所得は八百二十三レアル、昨年の九月は九百七十七レアルで二分の一最低賃金分低下した。
 平均所得の低下は、臨時雇用の増加を意味する。昨年十月から今年九月までに就職した七十七万二千人のうち九七・六%が非正規雇用で、正規雇用は一万九千人の二・四%に過ぎない。そのうち三十八万二千人は、未許可の露店商やその他の自由業に入った。
 IBGE調査では、定年退職者や勉学のための休職も低減し、勤務継続が増加している。収入の確保が理由だ。サンパウロ州工業連盟(FIESP)は就職前線はまだ最悪だとし、政府は消費意欲を刺激する程度の学者の遊びではなく、本格的な投資活動の奨励に取り組むべきだと警告した。