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タレント 人気落ち病に=麻薬中毒患者と同じ症状

10月25日(土)

 【ジアーリオ・デ・サンパウロ紙12日】テレビドラマの俳優・女優、大人気の歌手など、現在活躍中の有名人は多くいる。だが、人々から忘れ去られ、有名人から〃舞台裏〃へと一気に転落した人々も多い。
 「人気は麻薬のようなもの。実際、体に麻薬中毒患者のような症状まで出る」と話すのは、リオ出身の俳優エドゥアルド・トルナーギ(五一)。彼は1970、80年代、グローボTV局のドラマ「ア・モレニーニャ」や「ダンシング・デイ」「ヴェレーダ・トロピカル」などに美男役(写真)として登場していた。
 トルナーギにとって、90年代に役から外されたことはトラウマに近い経験だった。「ある日、ブラジリアへ行く途中、空港付近でドラマを収録していた。あの無数のライトを見た時、体が震え始めた。苦しむ一方で幾度も大笑いもした。まるで麻薬中毒にでもなったかのようだった」と話す。「一室に入って顔に水をかけ、深呼吸してから収録現場へ向い、その場にいた友人たちにあいさつした」。
 現在トルナーギは演劇俳優として活躍。リオの貧しい人々のためにボランティア活動もしている。だが、自ら美男役を降りたとはいえ、心の葛藤は避けられなかったと思い起こす。
 「ヒールが高ければ高いほど転んだ時の痛みが大きい」というブラジルのことわざがあるが、歌手ワンデルレイ・カルドーゾはその象徴だろう。60年代に「オ・ボン・ラパス(良い青年)」「ドーセ・デ・コーコ(ココナッツのお菓子)」などの歌曲で大ヒット。ルックスの良さで女の子たちを狂わせた。彼のショーは常に満員、国中のアイドルになった。
 だが、その彼が2年前に自殺を図ったという。「睡眠薬を大量に飲み、妻(歌手デイ・ジアンニー)にさよならと言った。妻は急いで家に帰り、自分を病院へ連れて行った。2週間ほど生死をさまよった。退院してから福音教会の信者になり、立ち直ることができた。今はとても幸せです」と感謝した。彼はまた、教会のおかげでアルコール中毒が治ったとも話している。
 昨年カルドーゾは、ゴスペル音楽部門で新人賞を受賞。2枚目のゴスペルアルバムも収録中。「アルバムが20万枚以上も売れて、本当に幸せだ。以前は人々から『お前まだ生きていたのか』とか、『お前はもうダメだよ』と言われていたのに」と笑顔を見せた。