10月28日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十七日】住む家もあり、仕事もある。少ないけれど、給料もある。だが、家が遠いので交通費が払えず、サンパウロ市(以下、サンパウロ市)の路上で生活を強いられている労働者たちがいる―。サンパウロ大学経済研究所(Fipe―USP。財団)のシウヴィア・M・Schorさんが三年間にわたって実施した調査によって、〃交通手段の除外者たち〃と呼ばれる人々の実態が明らかになってきた。
Fipeの調査によると、二〇〇〇年のサンパウロ市内の路上生活者は八千七百六人。うち四二%が浮浪者収容所に寝泊りしている。六〇%以上は何らかの職業活動をしており、平均月給は二百八十四レアルである。
この〃交通手段の除外者たち〃という表現は、お金がなくてバスやロタソンに乗ることができず、家に帰れない、あるいは家から出勤できない人々のことを指す。
一九九五年から昨年までに、市バスの平均利用者が三〇%減少した。サンパウロ市での減少率は五〇%に達した。バス代がレアル・プランのインフレ率以上の二八・七%~六二・二%も値上げしたのが、市バス利用者減少の主な原因だと、ダッタ・フォーリャ調査会社がブラジル主要八都市で実施した調査で明確になった。
Schorさんによると、家はあるが交通費の金がない労働者の実態が明らかになったのはつい最近のことだという。「サンパウロ市西部バーラ・フンダ区で空き缶・ダンボール紙などのゴミを収集して家計を立てている六人の男性が、大サンパウロ市圏フランコ・ダ・ロッシャ市へ毎日帰宅する運賃を節約するため、ゴミを入れる荷車の中で寝ていた」。
NGO団体の「わたしの家、わたしの道路」協会を指導し、十五年間にわたり路上生活者たちの世話をしているヴァウテル・ヴァランダ心理士は、「サンパウロ市中心部の方が郊外よりもリサイクル資源収集などの仕事が見つかり易い」と、サンパウロ市での仕事の利点を語る。
サンパウロ市社会福祉局は、〃交通手段の除外者たち〃は、浮浪者収容所で寝泊りすることはできないと言明。「同収容所は仕事も家も何もない人々のためのもの。浮浪者を優先しなくてはならない」と、同局は説明する。そのため、浮浪者だとうそをついて収容所に宿泊する人々も多いという。