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米国のブラジル排斥政策批判=ルーラ大統領が演説=世界社会主義会議開く=教条主義的政策を否定

10月29日(水)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十八日】サンパウロ市で開催された第二十二回社会主義者国際会議でルーラ大統領は二十七日、ブラジルの国家主権が脅かされていると訴えた。国際資本とそれを背後で操作する組織によってブラジルの政治は不安定な状態に置かれていると、米政府の対伯政策を間接的に批判した。社会主義運動の歴史を振り返り、大統領はPTを次世代の党と位置付けし、ブラジルの問題解決のために社会主義の型にはめ込むような手法は採らないと言明した。

 米州自由貿易地域(FTAA)協定からブラジルを締め出し、国際投機資本にほんろうされ軟弱な経済基盤を構築し政権を不安定な状態に追い込む国際的組織と米政府の手法を、ルーラ大統領は非難した。 
 二十八日は大統領の五十八歳の誕生日であり、大統領選に当選した由緒ある日でもあった。国際会議は、世界の社会主義を旗印とする百五十の党から代表五百人を集めて行われた。
 会場の左翼政治家を前に、国際貿易の中での途上国の立場を議題とした。米国を名指しすることを避けて、「口では自由貿易を唱え、することが口とは裏腹の国がある」と批判した。二十一世紀の政治目標は、先進国の自己本位の政治手法から脱して貧富の格差を是正する経済的、文化的に調和のとれた国際社会の建設だとした。
 ゼロ関税制度を提案しながら、自国内では毎日十億ドルの補助金をつぎ込んでいる先進国がある。それでサービス、政府購入、知的財産の市場を開放しろという。さらに自国内では反ダンピング法や関税外障壁を設けて、途上国を締め付けていると抗議した。
 大統領は国連の機構改革に触れた。第二次大戦終戦時の国連発足当時のままでなく、今日の現状に即し平和に向けて機能する国連へ改革することを提案した。特に国連による安全保障システムの確立は急務だと訴えた。
 新世界秩序は、民主主義の精神にのっとり社会的に均衡のとれた対外政策を信条とすることを、ブラジルは期待すると述べた。米国とEUの代弁者と新世界秩序の構築へ向けて相互理解に努める用意があるとした。
 大統領はブラジルが直面する数々の問題に臨んで、一定の価値観やイデオロギーなどでしばるドグマ的手法を採らないと約束した。思想の違いを越え、包み込んで行く包括的手法を採ると宣言。社会主義が敗れるのは、団結が崩れるとき。幹部の結束は社会主義が勝利を収めるための必須条件だと、PTの過去の教訓から述べた。
 大統領は最後に、前大統領のように任期終了後は外国の避暑地で悠々自適の生活に入るようなことはないと皮肉った。プラナウト宮を退出したら、金属労組の目と鼻の先にあるわが家へ帰り、労働運動に没頭する。また工場の正門前へ繰り出して労働者とともに社会運動に専心し、人生を全うすると語った。