被爆者健診のため来伯中の医師と広島県庁の職員が二十八日午後、雨天の中、セーラ・グランデ市まで往診に出掛けた。
サンパウロからアンシエッタ街道を走り、インディオ・チビリッサに入ってスザノ方面に向かう。
片道一時間の行程、ファベーラや低所得層の住宅、裸足で走り子供の姿といったブラジルの暗部が二人の心をとらえたよう。患者がいったいどんな場所に住んでいるのか、不安が増す。
「往診は、日本ではあまり公にしなかった。治安が悪ければ、ぼつになる可能性があるから。こっちで決めたことなんですよ」と、本音もちらり。
往診を終えての心境は──。「感慨深くて、一言では言い切れません」。「人生観が変わりました」。 (古)
03/10/30