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南米発 放浪の料理人 日本食を探る=(5)=ボリビア=オキナワ移住地=ソーキソバ、那覇と同じ=川魚で棒状のカマボコ

11月5日(水)

 ボリビアのオキナワ移住地を訪れた。ボリビア人ですら、オキナワというと通じるくらい有名である。移住地は、ボリビア、サンタクルス市から北西に一時間弱の場所に第一、第二、第三と三つある。当然のごとく沖縄からの移住者が多いのだが、来るもの拒まずであり、沖縄人らしい陽気さと、誰でも受け入れてくれるおおらかさを持った人々が多い。ここの熱帯の気候といい、まさに沖縄にやってきたような錯覚に陥る。
 豆腐屋比嘉さんを訪ねた。沖縄風の少し硬めの豆腐で、オキナワ料理のイリチー(炒め物)などに適している。鍋や大豆を砕く機械など、全てのものが何十年も前の移住時代に持ってきた物だが、綺麗に手入れされ、現在も稼動していた。
 にがりを使わずにこちらの酢を使って凝固させる独特の方法を用いる。店主曰く「午前二時から作って、朝、出荷する、寒い朝は辛いね」。また「色々な酢を試した。純酢酸を買おうとしたら、麻薬製造の疑いを持たれ、証明が無いと売ってくれなかったときもあった」とも言う。
 近郊にコカの葉の生産地があり、コカインの密造も行われているらしい(精製の段階で純酢酸を使う)。
 現在、お揚げや絹ごし豆腐の研究をしている。今やボリビア人も豆腐を食べるようになった。道ばたで現地人に聞いてみると「生では食べない、トーフを肉と炒め物や、スープに入れたりして食べるよ」と言っていた。
 目抜き通りに立派なオキナワ風の建物がある。沖縄料理店かと思ったら、カマボコ屋だ。オキナワ料理店というのはここには無い。各家庭で作っているからである。第二移住地の食堂で、運良くたまたま沖縄のソーキソバを食べた。
 豚の煮方といい、スープの味といい、まさに那覇で食べたものと同じであった。カマボコ屋の熱田さんは、熱帯の川魚サバロ(コイ科)の肉を練って棒状にして揚げた独特のかまぼこを作っている。保存が利き、かまぼこ板も必要無い。かまぼこ屋を始めたきっかけを聞くと、「家族そろって大の釣り好きでね、余るほど釣った魚を使い出して」。
 家の中には各種の魚釣り大会の表彰状や魚タクがあった。奥さんが釣った三十五キロにもなる魚と一緒に写っている写真もあった。納得である。
 二〇〇四年には入植五十周年祭が行われる。七月四日から始まり、豊年祭、エイサー、運動会ありと、八月二十八日まで続く。沖縄人らしい陽気でお祭り好きの人々のパワーを感じた。
 詳しくはホームページhttp://www.geocities.co.jp/Foodpia/9158/index.htmまで。(つづく)