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犯罪組織の掃討を準備=国連の協力も検討=大統領、治安維持に懸念示す=司法、立法府にメス必要

11月6日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】アンゴラ訪問中のルーラ大統領は四日、ブラジルの組織犯罪は司法府や立法府、上流社会にまたがるもので絶滅させることは困難だと述べた。犯罪者が臆することなく、治安当局に立ち向かう姿勢は国家権力への挑戦だとした。また司法制度の見直しに国連の手を借りることも有り得ると、大統領は司法改革を示唆した。検察庁は、連邦裁判事や連邦警察職員の銀行口座開示を要求した。

 司法制度がブラック・ボックスといわれている現在、司法府へメスを入れるために国連の協力を受けると、大統領は述べた。ブラジルの治安悪化は、構造的なものであると述懐した。
 緊急対策として法務省は、二十七州の軍警や市警、連警が連携して高度の訓練を受けた特種部隊の編成を準備中だ。現在の治安当局の技術水準では、組織犯罪に対処できないという。刑務所の中で犯罪組織を指揮できる刑務所システムは、奇怪だとも指摘した。
 検察庁サンパウロ市支所のアスカリ検事とアマラル検事は四日、連邦裁判事と関係者全員の銀行口座と資産表の開示を要求。また三判事の更迭も申請した。判事が密輸業者から液晶テレビを受け取るときの会話や、連警刑事が液晶テレビの調整法を教える会話などを録音したテープも押収した。
 そのほかわいろや不足分の支払いを、判事自身が要求したことを証明する録音テープも多数押収された。この犯罪組織は毎週水木曜日、サンパウロ市アンジェリカ大通りのシュラスカリア・アンジェリカ・グリルを〃たまり場〃としていた。
 同レストラン店員の話では、犯罪組織の幹事役は連警のベリーニ刑事であったという。同刑事は七〇年代、麻薬取り締まりで有能な刑事として表彰された。現在は、国境警察へ回されていた。同刑事は三十日、病院で診察中に逮捕された。
 連警情報部の秘密報告書によれば、連警職員や弁護士が多数、犯罪組織の仲介をしている。シュラスカリアの会話は、全て暗号で行った。会食の出席者の中には、証拠隠滅ができる権限を持った人がいた。〃足跡〃を消す犯罪専門家も、出席していた。
 三判事の拘束決定は、八日まで延期された。犯罪組織の関係者は、証拠隠滅のため省庁内を奔走している。