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南米発 放浪の料理人 日本食を探る=(6・終)=ボリビア=サンタクルス=2ドル前後のラーメン=「〝ボリビア料理〟に加えたい」

11月6日(木)

 サンフアン移住地、オキナワ移住地から最も近く重要な町、サンタクルス。日系人でここに移って商売を始める人も多い。今回は、二件の日本食料理店と、オキナワ移住地農協の直営店スーパー・オキナワを訪ねた。
 日本料理の老舗「寄り道」は、サンタクルスを囲み、最も重要な1号環状線の脇AV.BUCHIにあった。店の内装は、お座敷まであり、全く日本の料理屋と同じ、落ち着きを感じさせる。メニューも寿司、刺身から定食、丼モノまである。年二回行われている、「世界料理EXPOサンタクルス」には〃日本料理代表〃で毎回出展して、日本の食文化の紹介に貢献している。
 苦労している点を店主の藤井アキエさんに尋ねた。「やはり、海のない国だけに、刺身のネタ集めで苦労する」と言う。タコや鮭はチリから、チチカカ湖で捕れるトュルーチャ(虹鱒)は、卵つきで新鮮なものを空輸で直送してもらっているらしい。その限られた食材の中から、美しく寿司盛りを作るのにはかなりの工夫がある、と想像できる。
 スーパー・オキナワは市内の中心にある。「この街には中華食材店も無いのでアジア人のお客様が多い」と店長の山城さんは話す。店にはオキナワ移住地で採れたゴーヤやナス、加工された豆腐や漬物などが並ぶ。以前、日本料理試食会を何度か開いたら大好評だったらしい。ひょうたんの天ぷら、かんぴょうイリチー、へちまシチューなど独特なメニューもあった。「料理の紹介と共に売り上げ増に繋げられた」と言う。
 同じく環状線1号を東に行った所に「ラーメンけん」がある。三年前にオープンした新しい店だが、現在、ボリビア人、日本人を問わず、一度食べた人はやみつきになるほどの人気を得ている。ラーメンは豚骨、しょうゆがあり、テーブルの上には肉味噌や辛子醤油などの薬味が並ぶ。味は、「海外だからこんなもので我慢しておこうか」ではなく、日本でも充分通用する美味しさだ。
 主人のけんさんに話をきいた。元はバイク旅行者で南米を放浪していた。ここサンタクルスで事故に会い、予期せぬ入院と滞在、そのとき、現在のボリビア人の奥さんに会ったのがきっかけで、ここに腰を下ろし、料理店を始めた。開店までの手続きや社員の教育、味の付け方も奥さんに頼るところが大きい。まさに抜群のパートナーを見付けたわけである。
 以前は二人で街角で焼きソバの屋台を一年やった。「その時は体を壊すくらい苦労しましたね。でも、その経験が生きて今の店が開けた」と言う。けんさんのラーメンの魅力は、一杯約二ドル前後という安さにもある。「以前、貧乏旅行をしていたとき、日本食が高くて食べられなかった。ボリビア人でも貧乏旅行者でも、気楽に食べに来られる店をやりたかった」また、「私の料理がボリビアの料理レシピに加わるくらい浸透すれば幸せ」と言う。
 まさにボリビアの庶民を大切にする人柄の良さが感じられた。
 詳しくはホームページhttp://www.geocities.co.jp/Foodpia/9158/index.htmまで。(おわり)