11月8日(土)
しとやかな花弁を持つ、トルコキキョウ。一般的に三年ほどで連作障害が出て、質が落ちると言われる。阿久沢興蔵さん(七一、群馬県出身)=グァラレーマ市=方では八年植えつけても、高品質を維持している。
サンパウロからアイルトン・セナ街道をリオデジャネイロに向かって約一時間三十分。桜植民地に隣接するマラカツに阿久沢さんは居を構える。
約四・五アルケールの農地内には、バラ、ゴクラクチョウなどが栽培されている。白や紫の色鮮やかな花が目を引く。「優美」、「希望」を花言葉に持つトルコキキョウだ。
「一回目を切り取ったばっかりだから、見てもしょうがない」と本人は言うが、今を盛りとばかりに爛漫と咲き誇っている。有機肥料を使用して無農薬。妻、愛子さんは「乳幼児でもアレルギーを引き起こすことはありません」と保証する。
長年、連作しても高品質を保つ秘訣は、育苗にあるよう。「この時点で絶対に病気を入れないことです」と言い切る。苗床の消毒などには細心の注意を払う。土の掘り起こしも機械を使わずに、手作業だ。
花の切り取りは阿久沢さんの仕事。ポイントをきちんと押さえることで、できるだけ花持ちをよくさせたいとの配慮があるからだ。
週に二回、セアザで販売している。出荷のピーク(九月~十月)には一回に四百束ほど積荷するという。
コチア青年で一九五五年に移住。ブラガンサ・パウリスタを経て、モジでバラ栽培を行ってきた。地形の良さと豊富な涌き水に魅了されて、九年ほど前に現在地に移転。トルコキキョウの栽培にも手を広げた。
「子や孫のために、働きたい」と語る阿久沢さんはは、銀行から一度も融資を受けたことがないのが、自慢だ。