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INSSへの道で死亡=高齢者には〝遠い〟年金

11月15日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙ブラジリア版十三日】社会保障省が年金詐欺予防対策として、九十歳以上の年金生活者に生存していることを証明させるため、国立社会保険院(INSS)で登録の更新を行なうよう命令したことで、先週から批判の声が高まっている。そんな時に首都ブラジリアで十二日、年金生活者の男性がINSSへ向かう途中で死亡する事件が起きた。
 男性はエンニオ・デ・フレイタスさん(七五)。同日、年金調整申請の情報を聞くためにINSSに向かっていた。だが、INSSの近くの警察署前で心臓まひを起こし、連邦直轄区圏タグアチンガ市地方病院へ行く途中、死亡した。
 フレイタスさんの娘婿で教員のジウソン・F・クルスさん(四三)によると、フレイタスさんは十一日、年金調整に必要な書類を準備するため、ブラジリアのINSS本部の中を一日中歩き回っていた。だが結局書類が足りず、INSS側は「明日また来い」と家に帰したという。
 フレイタスさんは、九十歳未満なので、年金生活者登録の更新をする必要はなかった。「でも最低賃金分の年金を減らされたら困ると、夫は神経質になっていた」と妻のマルリーさん(六六)は言明。「高齢者憲章は尊重されていない」と憤った。