11月15日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙9日】文化省とサンパウロ市文化局はこのほど、「遊び」の大切さを見直すために、おもちゃ博物館を建設すると発表した。
サンパウロ市中心部ルス公園の横にある7500平方メートルの敷地に、「キンタル・ダ・ルス(ルスの庭)」と命名されたおもちゃ博物館が建設される。
博物館の建設は、歴史的価値があるが放置状態になっている地域を活性化する文化省の「モヌメンタ」計画の一つで、サンパウロ市文化局が提携している。
博物館建設費は8百万レアルと見積もられており、米州開発銀行(BID)によって融資される予定。
BIDの建築家、マルセーロ・フェラス氏(48)は、「同博物館は、おもちゃ講座を開き、教員を養成する。現在の学校教育が破たんした理由の一つは、『遊ぶ』という大切な要素をおろそかにしたから。子供を遊ばせる重要性を学べる場所となる」と説明している。
おもちゃ博物館の建設案を出したピアニストのリージア・オルテーリオさん(70)は、1970年代から「遊び」を研究しており、世界中で集めた約3000種類に及ぶおもちゃを博物館に寄贈する。
「遊ぶことは人間にとって必要なこと。子供になることを忘れてはいけない。テレビは遊びを殺し、子供たちの体から発散される言葉を静めてしまった」とオルテーリオさんは指摘する。
バイア州出身のオルテーリオさんは、幼少時代にセルトン地方で過ごし、14年間ドイツに住んでいた。「おもちゃをショーウィンドウごしに見るのが好きなのは大人たち。おもちゃを見て、『懐かしい』と思うから。でも子供たちは違う。おもちゃを使って遊ぶのが好きなんです」と、訴えた。
その考えを強調するには、この博物館を庭のようにつくらなくてはならないという。土が踏める場所。かくれんぼができる木や草のあるスペース。これらは、貯蔵品と同じくらい大切なものだと、オルテーリオさんは熱弁する。
また同博物館では、おもちゃ作りも実施する予定。ビデオゲームのような買って遊ぶものではなく、子供たちに自分の手でおもちゃを作ってもらい、その喜びを感じさせるのが目的だ。
文化省は2005年6月に、「キンタル・ダ・ルス」おもちゃ博物館を新築落成する予定でいる。