11月15日(土)
「ブラジルに帰ってきて一年半になるけど、慣れなくて困ってます。ここのバグンサード(無秩序さ)は嫌いです。日本へ戻りたい」と流暢な日本語で話すのは、日本の国費留学生として鹿児島大学で矯正歯科を学んだペリクレス・ジニスさん。
日本で過ごした四年半が、彼の中の何かを変えた。「日本の社会は秩序だっているところがすごい。ブラジル人は自分のことだけ考えるけど、日本人はグループのことを考え、相手を助ける気持ちが強い」と評価する。「日本に行く前は、ブラジルは良い国だと思っていたんだけど…」。
北パラナのロンドリーナ生まれのペリクレスさん(三〇)は、父方にポルトガル系とオーストリア系、母方にポルトガル系とイタリア系を持ち、妻には日本人・葉子さん(鹿児島出身、二七)という多民族国家ブラジルならではの人物。
高校・大学をサンタカタリーナ州都フロリアノーポリスで過ごした事から、日本留学後もそこに住んで、大学や専門学校で講師をしている。
大原葉子さんとは二〇〇二年三月に日本で結婚し、彼女は昨年九月に渡伯した。現在、ニッポ・カタリネンセ協会で日本語教師をし、約二十人の生徒の指導にあたる。「マンガが好きで勉強はじめたブラジル人の若い人が多いですね」。
葉子さんは九七年からパラー州ベレンで一年間、日本語教師をしていたこともある。その時にブラジル人から日本のことを尋ねられた経験から、「ブラジルにいく前に、しっかり日本文化を勉強しようと、お花、着付けとかを習いました」という。
「日本では幼稚園に勤めていたの。だから、今月から協会で日本語を使った幼児教育もはじめます」とも。
ブラジル女性は明るいことで定評があるが、ペリクレスさんにとっては別のよう。「葉子の、いつもにぎやかで、笑っているところが好きです」とおどける。
新天地フロリアノーポリスの太陽は、今日も明るく微笑んで若い二人を見守っている。