11月18日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】政府与党は十五日、司法官に対する異議や告発を検討する聴聞委員会を、全国各州に設置する案を上程した。同委員会はかねてからの懸案で、司法官の品行と職務を監視する与党PT司法改革への第一弾といえそうだ。同案は一九九九年にも「誰でも不当な裁判に対し異議を申し立てることができる」として議案が上程されていた。それが上院で足止めされ、これまで眠っていた。
聴聞委員会は法務審議会の初仕事として、与党PTと行政府の意向を入れ二〇〇四年までに設置の予定。一連のPT政権の改革で中核ともいえる司法官に対する外部の管理機関が、市民団体などの協力により発足するというもの。
ジェノイノPT党首は、司法官に対する透明性の確立と民主政治にふさわしい外部管理システムの設置は、汚職対策ではなく司法制度の近代化だと述べた。それは痛みを伴う改革だという。判決取引やシウベイラ判事夫妻の不正年金などで、司法制度の改革により法曹界から〃毒麦〃を取り除く必要があると語った。
司法制度の改革委員会委員長ジョゼ・E・カルドーゾ下議は、PT案は裁判の判決に対し妥当性があるかを、同一訴訟で上級裁に見直しを要請できるものという。現行法では裁判所の聴聞課のみが、判事の不審判決に対する告発を処理していた。また裁判の進行過程は、一切秘密に伏されていたのを公開性に改正すると、同委員長は述べた。
上程案では外部管理委員会は市民団体代表、検事、弁護士、司法官からなり、任期は二年。そのほかに、司法官が補佐として親族を採用することを禁止。司法官は、上級裁の判事選出で投票権を得る。同一ケースに対する判決では、上級裁の判決を優先するなど。同委員会は判事を有罪と認めたら、検察庁へ告発が可能となっている。
一方、司法府は過激な改革を懸念している。高等裁のニウソン・ナーベス裁判長は、PTの改革案は過剰反応だとした。委員会メンバーの中に、部外者を起用することを危ぐすると述べた。PTは正面衝突も辞さない考えとみている。司法官は三権の一角であり、司法府以外から司法官が管理されることはあり得ないと、同裁判長は考えている。