11月18日(火)
芸術の街やヒッピー市場で知られるエンブー市(ジェラルド・クルス市長)に新名所が誕生した。陶芸家、故堺忠清さんの作品を中心に収集した記念館「メモリアル・サカイ」(トーニヤ・ゴンザガ館長、ヴィクトル・ブレシェレト広場前)だ。
同市は、十五日午後三時半に同会館前で開館式典を行った。ジェラルド市長をはじめ、ロベルト・テラッシー副市長、ナタニエル・カルバーリョ市議会議長らが出席。百人の市民を前に、新名所の開館を祝った。ジェラルド市長は「エンブーに同会館が出来たのは、市民の協力のおかげだ」とあいさつ。来賓のあいさつ、ガイドの任命、テープカットが終わると、市民たちは早速館内に入り、作品を楽しんでいた。
堺さんは一九一四年に長崎県で生まれ、二八年に渡伯した。五二年に、エンブーに移り住み、芸術教室を開く。そのかたわらで養蚕業や農業に従事し、芸術活動を行った。
一人息子のマリオさん(六七)は、今回の同記念館の誕生を「私はほとんど協力することは無かったが、このような会館ができてうれしい」と感激の様子。「よく、父の手伝いで粘土を運んでいた」と当時を思い出していた。
同館の館長で、教室の生徒だったトーニャさんは、九歳から堺の弟子に入った。「堺は、自分が獲得した技法を惜しげもなく私たち生徒に教えてくれた。芸術活動も含めて、彼の功績を伝えたい」と開館へのきっかけを語る。
市の協力を得て一年前から、トーニャさんら生徒たちが活動を開始する。ちらばった堺さんの作品を収集し、破損したものは修復した。同館には、堺さんの作品だけでなく生徒たちの作品も飾られる。
開館日は火曜日から日曜日。午前九時から午後六時まで。一階では、陶芸教室なども開かれる予定(現在準備中)。