世界最長の鉄道はロシアのシベリア鉄道で全長が九千三百キロもある。モスクワからウラジオストックまでを一週間走り続け日本にもフアンは多い。その昔は日本からブラジルに赴任する外交官らも利用したものでコロニアとも馴染みの深い田付景一大使も、書記官として最初の赴任のときは長い汽車の旅を続け欧州からは船でリオに着いたそうだ▼あの敷設工事は一八九一年に始まっており一九一六年に全線が開通しているから歴史も相当に古い。アジアとヨーロッパを結ぶ唯一の鉄道だし物資の輸送や人の交流に大活躍したのに違いない。ビデオの映像で見るととにかく雄大な景観に圧倒される。列車も大型だし一週間の長旅もあまり退屈しないで過ごせそうな―そんな気分にさせられるほどに凄い▼そんなシベリア鉄道の全線電化がやっと完成したそうだ。電化の仕事が始まり七三年もかかったというのは、いかにもロシアらしいが、焦らずにゆっくりがあの大国のお国ぶりらしくていい。電化によって貨物の輸送量が倍増したそうだが、食堂車の整備や質の向上を図れば客も大喜びするだろうし、欧州に向けて列車の旅を楽しむ人も増えるのは間違いない▼プーチン大統領も鉄道ファンなのか韓国と北朝鮮に鉄道の連結を話しかけている。朝鮮半島とシベリア鉄道を結びヨーロッパへ一直線にの構想である。北朝鮮側の都合もあって南北鉄道の連結は進んでいないようながら、これが実現すれば日本も大いに助かるしモスクワも欧州もぐっと近くになって優雅な汽車の旅を満喫できるようになる。 (遯)
03/11/18