11月22日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十一日】路線バスのヴィアソン・イタインとブリストールの二社を経営するジョアキン・F・ジアス社長(八一)は二十日、誘拐後七十日ぶりに拉致から解放された。被害者が毎晩、虐待されるのを見かねた隣人が、軍警へ通告して救出されたもの。
被害者はカッポン・レドンド区のジャルジン・ローザにあるスラム街に監禁され、両手は鎖でプロパンにくくられ両足はひもで縛られていた。食事と飲料水は二日に一度与えられ、救出時は立てないほど衰弱していた。排便も入浴もさせられず毎日、床に転がされていた。同事件は共犯者が四人おり、警察は追求中。
軍警が二十日未明、隠れ家に踏み込んだとき見張り役のレオナウド・ペレイラは銃撃戦のすえ射殺された。同者は少年院から仮釈放され、監視下の身であった。被害者は二度目の拉致という。前回は身代金を払って解放され、警察へは届け出なかった。
ジアス社長の話では、家族が身代金二百万レアルを五十万レアルに交渉し、まだ身代金を払わないので殴る蹴るなどの暴行を連日加えられたという。被害者の悲鳴が毎晩近所へ響き渡ったため、堪りかねた隣人が危険を覚悟で警察に連絡したようだ。
アフォンソ・ドミンゲス通りの隠れ家への入り口は狭く、人間一人がやっと通れる程度の幅しかなく、昼間でも薄暗い所だ。軍警が到着した午前二時は、真っ暗で見張りの小さな電球が一個だけあった。軍警らは、見たこともない陰湿な虐待ぶりに息を飲んだ。