11月25日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】経済調査院(IPEA)は二十二日、ブラジルの製造業は人員を削減しながら増産を図り、少数精鋭主義を採っていると発表した。一月から九月までの調査では企業の生産は昨年同期比〇・九二%上昇し、一人当たり生産は〇・五三%上昇。しかし過去十年の企業の生産性平均五から七%と比較すると生産性は非常に低く、企業は人員削減を継続して生産性を引き上げていくものとみられる。
製造業は経済の活性化に伴う増産を期待しているが、二〇〇四年への設備投資や技術開発費はわずかであった。二〇〇五年に経済成長が軌道に乗った場合、企業の対応態勢は注文に応じられない状態にある。
企業は過去数年、人員削減で生産性を保ったが現状での増産には限界にある。設備投資と技術開発なしでは、景気の波に乗るチャンスを逃す危険性さえあると、IPCAは警告する。
国際市場で互角に競争するために、設備投資と生産技術の開発は不可欠だ。しかし、ほとんどの企業は高金利政策と金融機関の資金不足のため、設備投資と技術開発に応じられる状態にはない。
サンパウロ州工業連盟(FIESP)の発表では、これまで設備投資は国内総生産(GDP)の二一%以上を保ってきたが、今年度は一八%にも達しないという。FIESPは二〇〇四年の経済回復は一時的現象ではないとみている。確固たる設備投資と技術開発が、必要だと訴えている。
生産技術の開発や設備投資は簡単なことではないが、国内市場に活性化の兆候があることで呼応した企業もある。玩具のエストレーラ社は、千二百万レアルをイタピーラ工場へ投じて再新鋭設備を設置した。モトローラ社とノキア社は、合弁でジャグアリウナ工場へ一千万ドルの設備投資をした。同社は増産に増産を継ぐ盛況にありながら、人員採用は五%増にとどめた。
人工ジュースのジェネラル・ブランド社は同数の従業員で一人当たりの生産を高めるため、プレミアム制度を導入した。売上高では六〇%増の成果があったとされる。製靴のアガベ社は一人当たり生産量を、一日四・八足から四・八五足へノルマ・アップを義務づけた。