11月28日(金)
国際協力機構(JICA)サンパウロ支所は昨年度から今年度にかけて、社会福祉法人こどものその(井口信理事長)に陶芸用、パン製造用機材などを供与した。二十六日、小松雹玄支所長らを招きJICA携行機材贈呈式がイタケーラ区の同園講堂および実習センターであり、約七十人の関係者、園児・園生が出席した。
こどものそのは吉田光子園長のもと、十二歳から六十代後半の園児・園生九十人が在籍、鶏卵や手芸品、陶芸、竹炭の製造販売などの授産活動を行なっている。
JICAは同園に昨年七月から、陶芸と蕎麦打ち専門の小宮山勝シニア・ボランティアを派遣。昨年度は陶芸用粘土圧延機、チェンソー、桶胴太鼓、今年度は陶芸用焼成ガス・バーナー、竹炭製造用資料、パン製造用圧延機、パン製造用大型ミキサーなど計十一点を供与した。
贈呈式にはJICAから小松支所長、佐々木弘一日系社会業務班総括、真砂睦シニア・ボランティア(業務調整)が出席した。小宮山シニアが携行機材を説明、「JICAが桶胴太鼓を供与したことがきっかけで、日本からも数々の寄贈を受けることができた」とした。また、竹炭製造資料をもとに今年十月、煉瓦窯が完成したことで、「これまで一度に二、三キロしかできなかった竹炭が十キロ以上製造できるようになった」と報告。そのほか、パン製造用機材に関しては、「近隣の工場から注文をとって製造し、園生たちが配達をするようになれたら」と抱負を述べた。
続いて、小松支所長があいさつ。シニアの発案により、同園に陶芸、竹炭、へちまのスポンジ作りなど様々な可能性が広がったことを例にあげ、「園内だけではなく、外とのつながりを持ち、自分ができることは自分でやれるようになって欲しい。常にチャレンジしてください」などと語った。佐々木統括は、「若い日系社会のリーダーが、こどものそのに支援していけるような環境作りを願っている」などと述べた。
こどものそのからは井口信理事長代理として鈴木康夫第一副理事長、園生の半間ファビオさん、保護者会代表の岡本ルイス第三副理事長が謝辞を述べた。式では、鈴木副理事長の掛け声で園生たちが三回、「オブリガード」と叫ぶなど、微笑ましい光景も見受けられた。
贈呈式後、JICA一行は陶芸や竹炭工房、実習センターでのパン作り視察の後、園生の太鼓演奏観賞や手作りパンの試食を行なった。