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コラム 樹海

 濃いめのブルーのシャツと灰色のジャンパーに身を包んだブッシュ大統領が大きなお盆に七面鳥の丸焼きを乗せ兵士らに振る舞っている画面を観た人々は直感的に「親睦夕食会」と思ったに違いない。それが感謝祭の日となればアメリカ的な楽しい風景なのだが、あのパフォーマンスがイラクはバクダット空港の米軍基地と知ったときのびっくりと驚き▼ミサイルの戦争は幕を閉じたけれども、米軍ヘリへのテロは相次ぎ犠牲者も多い。いわば―「戦争状態」は今も続く。その「敵地」に米大統領が背広を脱ぎ捨て兵士を激励した意義は大きい。サンチェス司令官を始め兵士らは感激し大喜び。感謝の日を選んでの七面鳥料理が泣かせるではないか。英国からアメリカに渡った清教徒が移住してから初めての収穫を祝うことにちなむ「感謝の日」は米国人にとっては掛け替えもなく大切な日なのである▼日本の新聞には「選挙向けの演出」の論調もあるけれども、むしろ「不屈の志と精神」をアピールしたと見たい。バグダット空港にしても決して「安全」ではない。先頃はヨルダンかの民間輸送機が地対空ミサイルに被弾し緊急着陸している事実もある。専用機「エアフォース・ワン」も完全にライトを消しての警戒であり「命を賭けての飛行」なのである▼米のイラク攻撃には批判もある。しかし、フセインの専制政治は誰にも否定できないし何十万人をも超える被弾圧者もいる。単に口先で唱える「平和論」から生まれた「平和」はありえない。ここはブッシュ大統領の勇気と英断に拍手を贈りたい。 (遯)_

03/11/29