12月2日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】ルーラ大統領は二日、中東のシリア、レバノン、アラブ首長国、エジプト、リビアの五カ国歴訪のため出発する。大統領の訪問目的は、これら諸国からのブラジル向け外資導入とされる。反米色の強いリビアのカダフィ大統領や悪の枢軸視されているシリアをも訪問する。予定されている首脳会談は、米政府の神経をとがらせている。また大統領は、パレスチナのアハメド・コレイ首相ともエジプトで会談を行う。
米州自由貿易地域(FTAA)構想で対米交渉が頓挫していることから突破口を開くため、大統領は対中東外交へ食指を動かした。大統領が火中の栗を拾うような、意欲的で大胆な国際外交戦略が再開した。
訪問国シリアは国際テロの支援国として、北朝鮮やイラン並みに米国から白眼視されている。リビアは経済制裁を解かれ、米国の外資を導入し悪の枢軸扱いからは解放された。レバノンは人口が三百七十万人だが、ブラジルには二倍の七百万人のレバノン系ブラジル人が居住している。
同地域へのブラジルの国家元首による訪問は、ドン・ペドロ二世皇帝以来の出来事だ。軍政時代の七〇年代に、外務省のパウロ・T・リーマ国際局長が大量の武器売り込みに訪れている。
アラブ紙の記者会見に応じた大統領は二十九日、米国に対決する途上国同盟を解散する意向を表明し、欧米との友好的関係を維持するとした。大統領は二〇〇四年の外交計画として、中国やインド、ロシア、東欧諸国との関係親密化に力を入れると述べた。ブラジルはグローバル世界に向けて、途上国のまとめ役を演じることで自らに任じた。
今回大統領のアラブ諸国歴訪は投資誘致のセールスマン役を演じ、百三十人のブラジル人企業家が経済ミッションとして同行する。訪問先の各地で催すブラジル週間のために、サンバ・チームも参加する大連隊だ。政府が掲げる官民合同のインフラ整備計画に、アラブ資本の参加を呼びかける計画のようだ。
大統領は九日、エジプトでパレスチナのコレイ首相との会談も予定している。
二〇〇四年にはイスラエルを訪問して、シャロン首相との会談も組まれている。