12月2日(火)
【ヴェージャ誌】連邦国税庁のデータによると、野放し状態の偽造品販売で、年間三百億レアルの金が大サンパウロ市圏で動く。全国の密輸品、偽造品の約八〇%がサンパウロ市を通過し、そのうちの六〇%は同市の路上や広場で売りに出される。偽造品販売によりサンパウロ市が被る損害額は年間百二十億レアルに上り、サンパウロ市の〇三年度予算に匹敵するという。
ルイ・ヴィトンのハンドバッグ、千四百五十レアルが六十レアル、アディダス・スタービル、二百五十九レアルが五十九レアル、TVドラマ『ムリェーレス・アパイショナーダス』の挿入歌を収めたCD、二十七レアルが三レアル、コリンチアンスの公式Tシャツ、九九・九レアルが二十レアルー。こうした破格値の商品はショッピングセンターの在庫セールで販売されたものではない。これらはすべてヴィンテ・シンコ・デ・マルソ街、ラーゴ・ダ・バタッタといった場所で見つかる偽造品である。
「俺は安くていい品を扱っている。こんなに安いなら誰だって欲しがる」と豪語するロベルトさんは、ヴィンテ・シンコ・デ・マルソ街で四カ月前から偽造サッカーユニホームを売っている。「ここじゃあ、『サンパウロ』のシャツは十レアルだ。本物は九十レアル以上するけどね」。様々な偽造品は商店主のほか五万人を超えるカメロー(露店商人)を取込んだ、広範かつ周到に仕組まれた不法販売ルートを通じて消費者の手に届く。
サンパウロ市に流入する偽造品の約四〇%は友情の橋を通ってパラグアイから、約二〇%はサントス港やパラナグア港を経由して東南アジアから入る。残りの約四〇%はサンパウロ州の地方都市やサンパウロ市の周辺地域で偽造されており、それらは現在最も増加が著しい。
ある調査会社の試算によると、偽造品販売業者の売上げは月五千から一万五千レアル、利益は時折払う袖の下を除いても、売上げの四〇%に上るという。取り締まりが徹底していないことも偽造品の流通を促している。
偽造業者は麻薬密売と同じ方法を採用すると組織犯罪特捜部のブラット検事は話す。様々な偽造品を一カ所に保管するのではなく、何カ所にもわたって偽造品を振り分けることで取り締まりのリスクを分散しているのだ。昨年、ヴィンテ・シンコ・デ・マルソ街のビル二カ所で一斉検挙が行われ、偽造品が詰め込まれた袋七千七百個(推定販売価格百万ドル以上)が押収されたが、その後、取り締まりは滞っている。
有名ブランド製造メーカーは偽造品が販売される世界都市リストのトップにサンパウロ市が位置することを認めている。どのメーカーも偽造品に頭を痛めており、連邦国税庁の検査官に本物と偽物の識別方法を指導したり、三〇%も価格が安い廉価品を販売したりして対抗している。
偽造品は失業の増大、脱税などによって国内経済に損害を与え、組織犯罪を助長する。それだけではない。バービー人形には有毒成分を含む塗料が使用され、ナイキのスポーツシューズはショックの吸収材がなく、関節を痛める。偽造タバコにはブラジルで禁止されている殺虫成分や虫の糞まで発見されている。偽造品を買う消費者は低品質によって自身も損害を被るのだ。